石川県議会議員 盛本芳久

交流居住,学校多忙化など質す/定例会一般質問

12月定例会で一般質問を行いました.

県議会 議会中継 12月9日午前3人目
      http://www.pref.ishikawa.lg.jp/gikai/cyukei/cyukei.html

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質問と答弁の全文

盛本芳久君 時間も大分過ぎておりますけれども、少数ではありますけれども傍聴者の方もいらっしゃいますのでよろしくお願いをしたいと思います。
 十月に「はやぶさ」が幾多のトラブルを越えて小惑星「イトカワ」から帰還をいたしました。その成果も報告されて、多くの国民に夢と希望をもたらす話題となりましたが、昨日は「あかつき」の金星軌道投入失敗が報じられました。いかなる分野も期待どおりに順調に進むことの困難さを思うきょうこのごろであります。六年後の再挑戦成功を願い、質問に移りたいと思います。
 一点目は、地域経済の活性化についてであります。
 我が国経済は企業収益の改善、設備投資の持ち直しがあるものの生産が減少傾向であり足踏み状態、円高の進行やデフレの影響など景気下押しリスクの存在、失業率の高どまりなど厳しい状況であり、本県においても持ち直し傾向があるとはいえ、輸出や生産の増加の動きは鈍化し雇用情勢は依然厳しさが続いていると。これは議会初日の知事の提案説明での景気の現状分析であります。
 経済は苦手の私は、この不景気あるいはデフレの状態、その原因をつかみ切れておりません。雇用状況の改善のためには輸出を中心とした成長戦略により企業の収益の増加が必要である。しかし、生産性の向上が勤労者全体の所得を抑制している現状で景気回復は望めるのかというように思考は行き詰まり、景気回復への道を考える糸口さえ見出せないままでいたのであります。そのとき、ある一冊の本に出会いました。本年六月発行の「デフレの正体」という新書本であります。解説は明快であります。経済は人口の波、特に生産年齢人口で動くというものであります。バブル崩壊後でも日本の輸出額は倍増、リーマンショック後でも貿易黒字が続いております。そして、世界じゅうから膨大な金利配当を今も稼いでおります。それなのに内需縮小が延々続いているのはなぜか。それは生産年齢人口の減少がその原因であるというものです。つまり人口全体の減少をはるかに上回る現役世代人口の減少が都市、地方を問わずに進み、消費の総額を減少させているという説明であります。日本経済が幾らうまくいっても日本人経済、特に現役世代経済がうまくいかないという状況になっているというのが著者の指摘であります。日本で唯一現役世代が増加をしていて所得が伸びている県、沖縄。この沖縄の存在がこれを証明しております。これは極めて説得力のある分析であり、このような状況認識の上に立ってこれからの地域経済を活性化させていく方法を考える必要があると考えます。
 即効性があると言われる公共事業への投資あるいは輸出中心の大企業への投資も否定はいたしませんが、これからはストックにならず効率よく直接に消費へと回るような投資を促進すべきであります。特に資産を持つ高齢者から現役世代にお金が回るような仕掛けを考えていく必要があると考えます。地域経済の活性化に向けたこのような発想の視点についてまず知事の見解をお聞きをいたします。
 四年後、北陸新幹線の金沢開業は関東圏の人々をいかに石川県に、北陸に呼び込むか、そしてここでいかに消費をしていただくか、これがかぎであることは今さら言うまでもありません。さて、今述べたような高齢層から現役世代への所得の移動という視点から言うならば、関東圏の団塊世代を中心とする中間層、富裕層によりターゲットを絞った施策が必要となるでしょう。そして、消費が伴う観光誘客でなければなりません。STEP21においてもそのような視点が盛り込まれており、この具体化のため各地域でのモデルとなるプロジェクトの立ち上げがスケジュール化されておりますが、その進捗状況について伺います。
 また、交流人口とともに定住人口を増加させるという攻めの方策も必要であります。若い人から引退世代まで加賀に金沢に能登に移住をする、または一定期間定住しながら行ったり来たりする交流居住、二地域居住をする人々を吸い込む方策が必要であります。これについてもSTEP21に載せられておりますが、構えがまだ弱いのではないかと感じます。民間NPO等への支援の現状と成果はどうか。そして、東京圏でのテレビコマーシャル等の積極的メディア活用など、行政としての今後の主体的取り組みについても見解を伺います。
 次に、教育振興基本計画について伺います。
 二〇〇六年十二月、教育基本法が改定され、第十七条二項の定めに基づき石川県の教育振興基本計画が策定されようとしております。教育振興基本計画策定は努力規定であり、既に石川県においては教育にかかわる三つの計画、石川の学校教育振興ビジョン、石川県生涯学習振興ビジョン、石川のスポーツビジョンが教育施策の柱となって機能をしております。これらの検証と改定によれば新たな計画策定は必要ないとも思うのですが、本県の教育全般の指針としての振興計画の策定が行われているわけであります。十月の中間まとめの発表とこれに対する県民からのパブリックコメントの募集が行われておる今、この内容、特に現状の把握や目指す教育のあり方等について検討の余地があるとの県民の声も聞かれております。何点かにわたり見解を伺いたいと思います。
 まず、教育を取り巻く状況においては情報化や国際化といった社会の変化と時代の要請に応じた教育の充実が必要だとしています。しかし、石川県の現状という記述においては全国学力・学習状況調査、全国体力・運動能力、運動習慣等調査などのごく一部の結果だけを分析の中心的な資料としております。例を挙げれば、二〇〇三年に開始した石川県基礎学力調査のデータ等も参照されておりません。そして、全国学力・学習状況調査の結果自体もこれは学力のごく一部にすぎないと教育委員会みずからが繰り返し見解を述べてきているにもかかわらずにであります。
 今後の石川県教育の方向を示す計画策定のかなめは現状の分析にあると思います。単にアンケート調査等による数値に偏った分析で今後の進むべき教育の方向を示すことに大きな懸念を抱きます。県教育委員会事務局はペーパーにあらわれた調査でしか教育の現状を見ることができなくなってしまったのかと疑いたくもなるのであります。教育委員会には県内各地の学校や地域から得られたさまざまなデータや声が蓄積されているはずであります。これらを関連させながら大きくとらえ、現状をあぶり出す分析をすべきではないでしょうか、見解を伺います。
 二〇〇六年改正の教育基本法は第一章において教育の目的、目標、生涯学習の理念、教育の機会均等をうたっております。これに従えば点数主義に偏った学力観はさらに大局的にとらえられる学力観へと修正すべきですし、社会問題となっている子供の貧困とこれに伴う教育格差の固定化についてもその現状と方向性は計画の中で提起される必要があると考えます。教育長の見解を求めます。
 石川県の教育振興基本計画中間まとめには、教育予算の充実と重点的、効率的な執行が述べられておりますが、県民が求める給付型奨学金の拡充や経済格差の是正、少人数学級の早期実現、教職員定数の確保についての予算充実については一定の目標が示されてしかるべきではないでしょうか。この点についても伺っておきます。
 さて、今後の教育振興にとって重要な役割を果たすべき教育関連施設二カ所の現状と今後について伺います。
 まず、これまで幾度となく質問と答弁が繰り返されてまいりました県立図書館建てかえの課題についてであります。最近の議会での議論については二〇〇六年に庄源議員、中村議員、二〇〇七年には石坂議員、米澤議員、二〇〇八年には宇野議員、北議員、ことしの櫻井議員と実に多くの議員の方々から質問が相次いでおります。これだけ取り上げられながら見通しすら示されない課題もそうないのではないかと思います。県立図書館は二年後、二〇一二年には開館百周年を迎えますが、現在の建物は建設から四十四年余りが経過をし、狭隘化、老朽化、そして収蔵庫の不足、耐震化の不備など施設、設備の面で課題があることは教育委員会、議会、県民全体の認識となっております。残念ながら県立図書館はどこにあるのか知らないという県民も多いのであります。このような限界に近い施設の状況の中で職員スタッフ、県民ボランティアの協力によってさまざまな取り組みが行われております。県内図書館の横断検察、公共図書館支援車の巡回、子供の読書活動の推進、学校図書館支援サービス、古文書の研究、整理、保管、歴史資料の編さん事業など工夫と努力が続けられております。
 改定された石川県新長期構想においては、県内の公立図書館の中核的な施設として蓄積をされた情報を最先端技術で提供するなどの次の時代に対応した機能の強化にハード、ソフト両面から取り組むとうたわれております。また、未来型図書館としてのいしかわ文化・情報の総合センター整備の構想もあったわけでありますので新図書館のイメージはほぼ形づくられていると言えます。あとは選択と集中の議論の中でいつごろどこに建設しその実現を図るかという問題だけであります。「財政状況を踏まえた上で立地場所も含め中長期的課題として検討していきたい」との知事や教育長の答弁が過去何度も繰り返されているのですが、そろそろ具体的議論に入っていっていいのではないかと思います。新幹線金沢開業以降あるいは新県立中央病院建設完成後というように先延ばしになっていけばもう現在の建物は五十年を超えることになってしまいます。応急対策や機能の分散というような対応は効率的ではないと思います。今後の税収や支出の優先順位など財政的にはどのような条件を想定していくのか、またこれまで答弁されてきた検討期間の中長期とはどの程度の期間を想定しているのか、所見を伺います。
 もう一つ、教育関連施設の県立自然史資料館について伺います。
 石川県の郷土資料館には自然史関係の標本展示室がありましたが、この発展施設として開かれた歴史博物館にはこれが引き継がれませんでした。石川県の自然史博物館の実現を求める活動は一九七八年、これを望む研究者有志が中心となって準備会をつくり、知事に要望を提出したときから始まりました。九六年には石川県に自然史博物館を実現する会が設立され、県議会に請願を行います。この請願書は県議会全会一致で採択をされ実現が具体的に進んでまいります。九八年には県教委からの質問にこたえ実現する会が基本構想を提出し、二〇〇三年の県教委による自然史資料館基本構想策定、二〇〇六年県立施設として条例化、オープン。そして、二〇〇八年リニューアルオープンし、石川県自然史センターによる指定管理、運営が開始をされ今日に至ります。実に苦節三十年の歴史ということになります。石川県の豊かな自然環境を守り育てること、すなわち生物多様性の確保にとって自然にかかわる資料や情報を蓄積することはますます重要となっております。この資料の収集管理、調査研究、自然環境保護保全に関する普及活動は自然史資料館の重要な使命であります。この自然史資料館は博物館法に基づく登録施設でもなく、博物館に相当する施設でもなく、博物館に類似のものという位置づけになっております。近県と比較しても相当におくれをとっていると言わざるを得ません。各種展示、講座の開設、学校への出張、標本の収集、整理などの充実が求められておりますが、これにこたえる研究者、学芸員など十分な人員配置となっているのでしょうか。また、標本のファイリングやマウンティング、同定などにかかわる県民ボランティアなどの現状と課題についての認識についても伺います。
 前に述べたようにこの施設は指定管理者である石川県自然史センターにおいて管理運営されていますが、この方針と見通しを持って運営されるべき教育研究施設として指定期間の三年は余りに短く、最低十年程度の長期の指定期間とすべきと考えますが、まず見解をお聞きをいたします。
 自然史資料館、そして管理者の自然史センターは公共事業の環境アセスメントにもかかわっております。また、教官が入れかわる大学とは違い、県内環境情報の総合的管理と蓄積ができるところはここしかないというふうに言われております。学校との連携や生涯学習の広がりにかんがみ、今後ますますその存在は重要性を増していきます。石川県における本格的自然史博物館の実現を望む関係者、県民の声も大きくなっております。将来の博物館としての位置づけを標榜した今後の取り組みについて所見を伺います。
 次に、六月議会でも質問しておりますが、学校現場の多忙化、子供と向き合う時間の確保についてその後の検討状況について伺います。
 子供たちと向き合う時間の確保に向け、本年度より学校マネジメント会議が組織をされ検討が重ねられております。十月の県立学校長会議でその状況が報告をされました。教員がどの業務で特に時間を費やしているかを問うたアンケート結果が報告されております。児童生徒の指導の分野においては個別の生徒指導が約三〇%、学校運営の分野では事務・報告書作成が約六〇%で最高となっています。予想された結果とはいえ、授業準備は十数%、学習指導は数%しか挙げられておりません。そして、すべての校種において事務・報告書作成が最も時間を費やしていると答えられる項目になっております。教育現場において授業時間以外は子供よりもパソコンに向かい、そのパソコン仕事も授業準備よりは報告書作成に費やされているわけであります。今やこれが職員室の日常風景ということになっております。
 子供たちにどんな先生が好きかと聞きますと、暇そうな先生と答えます。それは話を聞いてもらえたり勉強の相談や質問をしやすいからであります。私などは教員時代、あえて暇そうな振りをしておりました。しかし、もうそんな振りさえできない状況だと教員の皆さんは口をそろえて言います。
 さて、子供と向き合う時間の確保は喫緊の課題であるとの認識は教育委員会と学校現場で共有されているとは思いますが、まずこのアンケート結果についてどのような所見をお持ちか、伺います。
 もう一点、各種研修会において協議された学校における工夫についても報告をされております。事務・報告書作成業務における効率化や会議の精選、生徒指導における協力体制の確立などが方策として出たとのことですが、既に試され行われていることが多いとの印象です。学校現場での工夫は限界に来ているのではないでしょうか、この点についても見解を伺います。
 となれば、県や市町の教育委員会側の努力が必要となります。六月議会の教育長答弁では、「教育委員会の事務局各課において学校を対象とする会議、調査、照会事項の見直しを図り学校の業務削減につながるよう検討している。そして、市や町の教育委員会に対しても多忙化解消の観点から学校がかかわる業務のあり方について検討を依頼した。そして、十一月ごろまでに必要な補足調査を行いながら分析作業を終え、二月ごろには今後の取り組みの方向性の整理を行う」とのことでありました。既に実施に移した取り組みもあるというふうに聞きますが、現段階で具体的にどのような対策がとられたのか。また、予定の十一月も過ぎておりますので状況の分析結果の概要についてお聞かせいただきたいと思います。
 さて、他府県でも行われているこれらの対策の検討が我が石川県においても行われようとしていることに学校現場は大きな期待を寄せております。しかし、小手先の工夫では何も変わらないということも想像できますし、対策の実効性には懐疑的な教職員もおります。このあきらめにも似た思いを払拭するような相当に大胆な見直し案を年度末までに提起をしていただきたいと思います。今後の方向性について伺っておきたいと思います。
 文科省は、少人数学級の推進を中心とする八年間にわたる定数改善計画を示し、初年度の予算を概算要求しております。子供と向き合う時間確保の最も有効な方法は少人数学級であり、教育関係者、保護者すべての願いと言って差し支えないと思います。この改善計画が来年度からスタートすれば、まず小学校一、二年生が三十五人学級となります。そうなった場合は現在石川県の一、二年生で実施をされている支援講師か加配教員による少人数学級かの選択制は特別な予算措置の必要もないのでありますので、これを三、四年生に拡大するなど県の独自策として拡大するのが最適であるというふうに考えます。少人数学級の推進の見通しと県独自策を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(藤井義弘君) 執行部にお願い申し上げます。時間が相当経過しておりますので答弁は簡潔に願います。谷本知事。
 〔知事(谷本正憲君)登壇〕

◎知事(谷本正憲君) 盛本議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、地域経済の活性化についての御質問がございましたが、「デフレの正体」という本の中では近年の経済低迷の原因は団塊世代の引退によって勤労人口が減少した。そのことによって国内の消費総額が減少している。だからその解決策として高齢者が有する資産をお金に余裕がない若者に生前贈与することで国内消費を刺激する、こういう提言があるようでございます。ところが先ほど報道されておりましたように、昨年導入された子ども手当の受給者の四割がもらった手当を使わずに貯蓄をしているという、こういう調査結果も出ておるわけであります。手当をもらっても将来への不安からお金を使えない、そういう子育て世帯も多いというそんな実態も浮かび上がってくるわけであります。このように消費者に元気がない時代には自動車向けのエコカー補助金とかテレビ向けのエコポイントのように消費者の購入意欲を高めるための新しい政策手法に挑戦するということも私は意味があるんではないかというふうに思うわけであります。
 いずれにしても、地域経済の活性化にとって消費の拡大は重要な課題であると考えておりますので、ぜひタブーを恐れずに政府は持てる政策を総動員してまずは多くの国民が抱く将来への不安を払拭すると同時に購買意欲を刺激する取り組みをぜひ進めていただきたい、このように思う次第であります。
 次に、県立図書館でありますが、現在もインターネットを活用した市や町あるいは大学図書館とのネットワーク化によります横断検索システムの整備を進めて県内四十の図書館の相互貸借が可能となる、そういったソフト面においては県内図書館の中核的な施設として一定の役割を果たしておるわけであります。しかしながら、ハード面については築四十四年を経過しておりまして全国の県立図書館の中、六十二館のうちでも五番目に古いということであります。老朽化、狭隘化し、さらに駐車場不足も指摘されていることは十分承知をしているわけであります。いずれ建てかえがこれは必要だと、このように考えておりますが、これまで総合スポーツセンターの建設でありますとか県立学校の改築、耐震化などもございました。さらに現在は県立中央病院の改築も予定をしておるわけでありますので、建てかえということになりますと他県の状況を見ましても相当規模の経費が見込まれるわけであります。今後の税収、支出の優先順位などの財政的な状況につきましてはなかなか一概に申し上げるものでもないわけであります。また、具体的な時期についても現時点ではまだ申し上げることは大変難しいということはぜひ御理解いただきたい、このように思う次第であります。

○議長(藤井義弘君) 植村企画振興部長。
 〔企画振興部長(植村哲君)登壇〕

◎企画振興部長(植村哲君) 私からは二点お答えいたします。
 まず、STEP21の重点プロジェクトについてでございますが、観光資源について目が肥えており消費水準も高い首都圏の方々を呼び込むためには、おもてなし、食文化、歴史・景観といいますこれまで本県が培ってきた財産にさらに磨きをかけ発信していくことが何よりも重要でございます。本年六月には民間団体、グループによる重点プロジェクトの取り組みを後押しする補助制度を創設し既に先導的な取り組み三件について本格的な事業展開がスタートしているところでございます。
 次に、交流居住施策でございますが、県では移住、交流居住に関心のある都市住民への情報発信と受け入れのために今年度からいしかわ第二のふるさと推進事業、これを実施しておりまして、具体的には空き家を利用した市町の体験施設への助成や移住経験者と過ごす体験モデルツアーに取り組んでおります。また、能登地域における地元のNPO法人への復興基金を活用した支援、さらには移住や交流を推進する全国的組織のポータルサイト、これを活用した空き家情報の発信なども行っております。
 こうした取り組みの成果ということでございますが、県内市町の施策によりまして県外から空き家等へ移住された方は県の支援を開始いたしました平成十七年度以降二百六十五人に達しているところです。県といたしましては今後とも市町及びNPO法人などをしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(藤井義弘君) 竹中教育長。
 〔教育長(竹中博康君)登壇〕

◎教育長(竹中博康君) 私からは十一点お答えいたします。
 まず、石川の教育振興基本計画についてでありますが、石川の未来を開く心豊かな人づくりを目指した教育を推進するため、国の教育振興基本計画を参酌しながら今後の本県教育の総合的な指針となるよう策定するものであります。先般公表いたしました計画の中間まとめにおいては、本県教育に関するさまざまなデータをもとに本県教育の現状と方向性を示したところであります。具体には基礎学力調査、県民意識調査など各種調査の結果も含めてさまざまな角度から分析したほか、学校への相互訪問や推進会議委員による学校及び県教育センターの視察により教育現場の状況を把握するとともに、学校関係者やセンター所員からの意見聴取を踏まえ、石川の教育推進会議で議論を重ねているところであります。
 次に、教育格差についてでありますが、生きる力の知の側面である学力につきまして子供たちに学ぶ楽しさやわかる喜びを感じさせながら基礎的、基本的な知識、技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力などペーパーテストのみではかれない能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことが大切であると考えております。また、議員御指摘の社会問題となっている子供の貧困やそれに伴う教育格差ということにつきましては本県だけでは対応できるものではなく、基本的には国の施策で対応すべきものであると考えております。
 なお、教育の機会均等につきましては本計画の中間まとめの中で経済的な理由により教育の機会均等が失われることがないよう奨学金の貸与などを行い、修学機会の確保に努めますということにしております。
 次に、給付型奨学金の拡充などについてでありますが、給付型奨学金につきましては低所得者世帯への教育費負担軽減策として現在国の来年度予算編成において検討されておるところであり、県としても動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、少人数学級の実施については本県において既に小学校一、二年及び中学校一年についてそれぞれ校長の判断により三十五人学級を選択できる制度を先行して実施しているところであり、すべての小中学校における少人数学級の早期実現につきましては国の動向を十分見きわめた上で適切に対応していきたいと考えております。
 なお、教員の確保につきましては教育現場の状況の変化を踏まえ、教員の採用について必要な改善を図ることとしており必要な教員定数の確保に努めるなど今後とも予算の充実に取り組んでまいります。
 次に、県立自然史資料館についてでありますが、資料館は自然史資料の収集・保管、展示並びに自然史資料に関する調査研究、普及を事業内容としており、これらを行うために指定管理者が学芸員を三名配置するとともに県から教育職員三名を駐在させております。この六名が中心となり各種講座の実施や学校からの要請による授業支援などを行うとともに、大学や研究者の協力も得て標本の収集などの業務にしっかりと対応しているところであります。しかしながら、資料の分類や標本の作製などの作業につきましては相当な時間と労力を必要とするためボランティアによる支援を受けているところであります。このボランティアにつきましては石川県地域植物研究会や金沢みどりの調査会あるいは石川植物の会などが参加をしており、昨年度は延べ四百五十六名の方々に協力をいただいております。未整理の資料の数は膨大でありまして、今後もできるだけ多くのボランティアの協力を得てこの整理を確実に行っていきたいと考えております。
 次に、指定管理者についてでありますが、公の施設の指定管理者の指定期間につきましては全庁的に管理者の創意工夫による県民サービスの向上に取り組んでいただくためにはまとまった一定程度の期間を設定する必要があること、一方で競争機会の確保にも配慮する必要があることから原則三年以内といたしております。県立自然史資料館については非公募であり、他の非公募の施設についても指定管理者の管理運営方針の確認や新たな提案及び指定管理料を含む協定内容の見直しなどを行う必要があり、現時点では全庁的にも三年間の指定管理期間となっているものであります。
 次に、今後の取り組みについてでありますが、資料館は平成十八年五月の開館以来、自然史資料の常設展示及び企画展示を初めとして児童生徒などを対象とした自然史教育講座を実施するとともに、平成二十年四月に展示スペースをこれまでの二室から四室に増設し展示の充実を図ってきたところであります。今後も企画展や各種講座の充実を図るとともに広報活動にも力を入れ、多くの児童生徒や県民が自然史についての関心を高め、まずは利用者をふやすことを最優先に努力する必要があると考えております。
 次に、教員の子供と向き合う時間の確保についてであります。最初にアンケート調査結果についてでありますが、お尋ねのアンケートは今年度設置をいたしました学校マネジメント支援会議が初任教頭研修、教務主任等研修、中堅教職員研修、そして十年経験者研修の際に子供と向き合う時間をより多くとるためにはどのような業務に改善が必要かを把握するために行ったものであります。アンケート結果につきましては教員は校種を問わず事務・報告書作成、会議・打ち合わせなどに改善が必要であると感じていることが読み取れます。しかし、事務・報告書作成や会議・打ち合わせも学校運営に不可欠な業務であり、教員の重要な仕事であることは言うまでもなく、これをいかに効率的、効果的に行っていくかが求められていることから、関係者すべてができることを一つ一つ積み上げていく取り組みが大切であると考えております。
 次に、現場での工夫は限界との御指摘でありますが、学校運営におけるさまざまな工夫、改善により一定の成果を上げている学校もある一方、情報の整理、共有化が図られていない、業務の引き継ぎが不十分、会議の回数や進め方に無駄があるなど課題を抱えている学校も多く、全体としてはさらに改善の必要があるものと考えております。
 状況分析といたしましては、学校はまだまだ教員一人で仕事を抱え込む傾向があるため、物事を組織的に取り組む体制に改善の余地があるものととらえており、教員が同僚と支え合いながら学校全体として組織的に取り組む学校運営を一層推進する必要があると考えております。現時点での具体策につきましては、教育委員会が行う会議や調査あるいは照会を点検し効率化を図り、各学校や市町教委にも同様の取り組みを依頼して可能なことから実行しているところであります。今後の方向性についてはさらなる見直しを進め、今年度中に取り組みの評価と次年度の方向性を確認することといたしております。
 教員が子供と向き合う時間を十分確保することで教員が子供の成長を肌で感じ取り満足感と充実感を得ることが何より大切と考えております。県教委としては今後ともそのための環境整備に努めてまいります。
 最後に、少人数学級についてでありますが、本県においては入学後の新しい環境になれない児童生徒に対して一人一人にきめ細かな指導を行うことを目的として平成十七年度から小学校一、二年について、十八年度からは中学校一年についてそれぞれ校長の判断により三十五人学級を選択できる制度を先行して実施しているところであります。議員御指摘の現在小学校一、二年で実施している選択制を三、四年にスライドさせることにつきましては、国による少人数学級化を含む定数措置が確定しない中、現時点では県として判断することは難しいものと考えております。今後、国の動向を十分見きわめた上で適切に対応をしていきたいと考えております。
 以上であります。