石川県議会議員 盛本芳久

2010年9月定例会 一般質問行いました.

9月定例会で一般質問行いました.

2010年9月14日(火)

質問項目

 ① 公共サービス基本条例について
 ② 北陸電力のプルサーマル計画への対応について
 ③ 韓国併合100年と今後の友好交流について
 ④ 来年度教育予算,学力テストについて
 ⑤ 自転車をめぐるハードとソフトの課題について

石川県議会 議会中継のページ http://www.pref.ishikawa.lg.jp/gikai/cyukei/cyukei.html

 

質問の全文

この夏,酷暑の中,高齢者の所在不明,年金不正受給の表面化,孤独死や子どもの虐待(虐殺)事件が多く報道されました.親の死を放置し,違法に年金を受けた子も,無抵抗の子どもの心を踏みにじり命を奪った親も非難されてしかるべきですし,これを未然に防ぐことができなかった役所や公的機関の落ち度が指摘されていることも,これまた当然といえます.

1009質問新聞1.jpgしかし,これらの問題の根本にある家族や地域の絆,人と人とのつながりが次第に薄くなってきたこのような社会が,何の要因もなく進行してきたということはありません.子ども時代から曝される強烈な効率と競争の社会,敗者自己責任の風潮,結果を伴わない努力は評価されない社会,そして一方では,滑り落ちてしまうとなかなか這いあがれない公的制度の不備,行財政改革で削られ続けてきた福祉や教育のサービスと人員.このような背景があることは否定できない事実です.

 日本がこのような状況にある中,昨年5月,公共サービス基本法案が自民党,公明党,民主党,社民党,国民新党から議員立法として共同提案され,全会派賛成のもと可決・成立,71日に施行されました。

基本法は,国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とし,国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的な需要を公共サービスと再定義し,公共サービスに関する国民の権利を定めています。また,国と地方公共団体の責務を明らかにした上で,官民を問わず公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保と労働環境の整備を求めています。

公共サービスは,地方自治体およびNPOなど幅広い担い手によって提供されています.必要とされる良質な公共サービスを保障することが,安全・安心な暮らしの実現と,豊かな地域社会の発展につながります.

 各自治体でも,市民に質の高い公共サービスが提供されるよう,基本法をより具体化した,公共サービス基本条例の制定が望まれます.国会においては議員提案の法律として成立しました.条例も議員提案条例としての提出も考えられますが,執行部との相互の検討によって策定,条例化が望ましいと考えます.

 公共サービス基本法制定の経緯とその精神について,知事の認識を伺うとともに,本県における基本条例策定の必要性と展望について知事の見解をうかがいます.

 

次に,志賀原発1号機でのプルサーマル計画への対応についてうかがいます.

1009質問新聞4.jpg628日,北陸電力はプルサーマル発電実施に向けた事前協議を県と志賀町に申し入れ,国に許可申請を行いました.燃料の再利用とは言いますが,MOX燃料の加工費用は割高であり,ウランの節約も1,2割程度です.また,使用済み燃料の処理方法は決まっておらず,志賀原発に核のゴミが何十年たまり続けるのか,誰もわかりません.北陸電力は広告物等で,プルサーマルのことを「ウラン燃料のリサイクル」とエコをイメージさせる表現をしていることに私は違和感を持っています.

この方式では,制御棒の効きが通常より落ちるなど,安全性に疑問を持つ専門家もいます.石川県としても,県民の十分な理解と認識の上に立った,慎重な判断が求められています.

今年3月に地元がプルサーマル受け入れを表明した東北電力女川原発3号機でも,宮城県と石巻市,女川町が原子力システムや地震工学の専門家らによる検討会議を立ち上げ,安全性を独自に検証しました.石巻市は慎重派の専門家も交えた「市民勉強会」を設置しました.

小泉志賀町長の「町民は不安を持っている」と発言がありましたが,町民目線の率直なコメントであると思います.求められているのは,安全ばかりを強調する説明会ではなく,賛否両論を説明し,疑問に答え,判断を県民や町民にゆだね,意見を求めるという姿勢です.

石川県は,阪神大震災の時に,耐震に関する説明会を国・地元と共催で開催しました.計画し,推進している側の北陸電力の一方的説明では不備があります.まして,臨界事故隠しで地に落ちた信頼を回復したとは言い難い状況です.624日に起こった制御棒トラブルの事実を,28日の申し入れ前に報告しなかったことや,29日,大田火力発電所での火災.このようなトラブルの頻発は,ますます県民の不信感を高めています.そして,このような状況を見て,県の指導性が発揮されていないと指摘する多くの県民の声をこの議場の皆さんも聞いていると思います.

728日の総務企画委員会では,5人の委員から,北陸電力と県に対して,意見が相次ぎました.トラブルの報告を即座にせず,申し入れを先に行ったことに対して,申し入れをいつするかは,あくまでも企業の経営判断だと危機管理監は答弁されましたが,そこには,国の方針でもあるし,安全協定にも違反していないのだから,後で多少非難されても,やることをやってしまえばこっちのものだという会社の姿が,残念ながら透けて見えるのであります.

悪く言えば,県当局も議会も県民も地元住民も軽く見られているのです.これで,信頼と安全が確保されるのでしょうか.

このプルサーマル計画については,県が責任を持って,「県民説明会」や「公開討論会」,そして「専門家検討会」などを開催し,議論すべき重要な問題だと考えますがいかがでしょうか,見解を求めます.

また,臨界事故隠しの時設置したように,原子力環境安全管理協議会に「プルサーマルに関する専門委員会」を設置し,慎重かつ客観的な議論と見解を求めるべきと考えますが,この点についてもお聞きいたします.

 

次に,日韓交流について伺います

本年は韓国併合100年の年.1910年は,韓国と北朝鮮国民にとっては,国を奪われた忘れることのできない屈辱の年です.日本人にとっては,授業で習った明治時代末期の歴史の一つという認識の国民が多いかもしれません.日本で最も有名な韓国人はペ・ヨンジュン,韓国で最も有名な日本人は伊藤博文というアンケート結果を見たとき,双方の観光客の増加や,ドラマやアイドルなど芸能文化の交流は飛躍的に活発になってはいても,互いの国に対する思いにはまだまだ大きな隔たりがあることも否定できないのです.

これからの両国の友好関係強化は,両国ひいては東アジアの発展と平和にとっても重要な課題です.

日本国内で60万人,石川県には2千人が暮らしている在日韓国・朝鮮人の人々と差別なく共に生きること,そして,観光やビジネス,民間の国際交流の拡大をはかること,いずれも,活発に行われることは望ましいことです.

観光,交流は,余計な先入観がないほうが良いこともありますが,事前の準備と学習があれば,期待も高まりますし,実体験もより深く充実したものとなります.

この石川県金沢市には韓国と深くかかわる人物と場所が存在します.韓国人が皆,学校で学び,知らない人はいない尹奉吉(ユン・ボンギル)という人物と野田山の殉国碑と暗葬の跡地です.

日本の植民地時代,韓国の独立をめざし中国に亡命した尹奉吉(ユン・ボンギル)は,1932年,上海で日本軍が主催した「天長節兼戦勝祝賀式典」の壇上に爆弾を投げ,日本の要人たちを死傷させました.軍法会議で死刑判決を受け,大阪を経て,金沢に連行,三子牛の陸軍訓練場で処刑されました。遺体は極秘に野田山墓地の参道に埋められました。

 19463月,県下在住の韓国人たちは3日をかけこの暗葬の地を発見し,遺体を発掘しました。遺体は韓国に移送され,独立運動の英雄として国民葬が行われ,ソウルの国立墓域に安葬され今日に至ります。1992年,韓国と在日本大韓民国民団の手で野田山に「殉国碑」が建立されました。その後,在日1世の朴仁怍(パクインジョ)さん(昨年急逝されましたが)を中心に,尹奉吉が青年期農民運動の中で組織した会「月進会」の協力と在日韓国人,日本人の募金によって,金沢市の理解も得て『尹奉吉義士暗葬之跡』の碑が建立されました。県戦没者墓苑の管理事務所横の階段を降りたところに位置しています.

この不幸な歴史を,互いの平和へと発展させるべく,金沢と尹奉吉の生地韓国禮山郡の民間人と議会,また学者,音楽家など各方面の人々を交えた相互訪問が行われてすでに10年を超えています.私も市議会社民会派の皆さんと毎年この交流に参画しております.

狭い意味の民族主義者ではなく,民衆による東アジアの平和共同体を夢見た若い運動家に思いを馳せる活動です.

韓国人と尹奉吉が話題になれば,墓を守っていただいて感謝すると必ず言われます.先日の日韓親善協会の総会に出席した新潟の総領事からは,難しい問題にとりくんでいただき感謝するとの言葉もありました.

さて,韓国併合100年を機会として,この尹奉吉と石川・金沢をめぐる歴史をさまざまな交流に生かすことを考えてみてはどうでしょうか.この地にはもうすでに1万人を超える韓国人が訪れていると推定されます.韓国の旅行ガイドブックには野田山の暗葬の跡地が紹介されるようになりました.石川のほっと石川旅ネットのハングルのページには,殉国碑がすでに掲載されております.

今後,韓国人向け観光パンフレットやDVDその他メディアに紹介し,一流の日本的歴史と文化,食と人情を誇るわが石川県に,もう一つの大事な観光・交流スポットとして加えていってはどうでしょうか.所見を伺います.

また,県が主催する少年の翼や,市町・民間団体が行う韓国との交流の事前学習資料の一つの題材としての位置づけを行うことを提案いたします.見解を求めます.

 

1009質問新聞3.jpg次に,自転車をめぐる諸課題について伺います.

先日,地域の高齢者から,自転車に轢かれそうになったと訴えがありました.その方の友人にも現実に自転車とぶつかってけがをした人が何人かいると言います.有効な安全対策を求めておられます.

一方,自転車に乗っていて車と接触した,ヒヤッとしたなどの話も聞きます.自転車は車道では交通弱者であり車を運転する者にとっては邪魔者,しかし歩道では,走る凶器になることもあります.

温暖化防止と経済性,そして健康にもいいとなれば,中高生ならずとも通勤やちょっとした用事に自転車を使う人は増えても減ることはありません.それは好ましい方向でもあると思います.しかし,事故の危険は最小限にしなければなりません.

県内の自転車にかかわる事故の件数,特に重大事故の最近の状況はどうか.そして,どのような原因,状況での事故が多いのか,特徴についてお尋ねします.

道路交通法上,自転車の通行は極めてあいまいです.原則は,車道か許可された歩道の走行ですが,多くの例外が認められおり.気をつければ,結局どこを走ってもよいという法律のようです.このように自転車にとって必ずしも走りやすい環境にはない現状では,キメの細かい交通安全対策が必要だと思います.歩行者にも自転車利用者にも,自転車にかかわる走行上のルールや,安全上の注意点を知らせていく必要があります.

本県,金沢市でも自転車専用レーンの導入も始まりましたが,自転車先進国のヨーロッパ諸国の状況とはあまりに違います.朝,市街地の自転車専用道を,次々と走り抜けるビジネスマンの姿は,ヨーロッパでは普通の光景です.自転車先進国オランダでは,交通手段のシェアの30%を自転車が占めています.道路も専用道や,専用レーン,都市間の路線でみられる中央線を設けた双方向専用道などがかなり整備されているようです.

今後,日本全体でも,ここ石川県でも更に自転車利用者が増加し,オランダのように自転車1人1台の時代はやってくると考えるべきです.今後の道路整備,改良における自転車道あるいは専用通行帯の設置について,計画的,積極的に取り組むべきでしょう.先日の建設委員会の視察でも話がはずみ,海側環状の中央部に自転車通行帯を設けては,という提案も出たのであります.

郊外での専用道路,市街地での車道部での専用通行帯,ゆとりある歩道では通行区分の表示など,わかりやすく,安全を確保する自転車道のハード対策と,自転車交通安全のソフト対策について,その現状と今後の方向性について見解を求めます.

 

次に,教育行政について伺います.

1009質問新聞2.jpg先日の新聞の見出しに「日本また最下位,教育支出OECD07年調査」とありました.これは,2007年の日本の教育の公的財政支出のGDP比が3.3%で,OECD加盟の28国中最下位だったという事実です.ちなみに,2006年は27位で,近年は,最下位とブービー賞を行ったり来たりしているというのが日本の教育予算の実態です.

教職員定数が少ないことや,教育費の負担の相当割合を保護者が担っているのがその理由です.進学校に夏の補習授業を求めながら,エアコン設置はできず,許可という形によって結局保護者負担に頼らざるをえない.これもその例の一つです.

現政権による高校授業料無償化や少人数学級化により教育の公的支出は増加すると予想されますが,OECD平均のGDP4.8%には至らないでしょう.大学授業料無償化や給付型奨学金制度などはもう先進諸国の常識であります.

今回のデータで6.62位のデンマークを数年前に訪れました.人口8万人ほどの市の初等中等教育の担当者は,「日本が40人学級とは信じられない.現場教員が教育のプロであるならば,そんな環境で十分な教育はできないとはっきりと自治体や国に言うべきだと」一蹴されたことを覚えています.返す言葉はありませんでした.

来年度の文部科学省概算要求で,ようやく少人数学級の推進が方針化されました.喜びたいと思います.

先日の答弁で,教育長もこの方針を評価されました.しかし,全国では,すでに35人や30人学級を実施してきた自治体が多くあります.石川県も加配の転用で,小学12年,中学1年生で選択できる形で35人学級を実施しています.

国が具体的に計画を発表し実施したとき,独自に実施時期を先行させたり,より少人数の学級規模にする都道府県も出るでしょう.わが県でも,現在行われている方法等を発展させ,国を上回る対策をとることを期待しますが,そのような用意があるかまず伺います.

これに対応し,教職員の確保について,採用試験の受験者を増やすことが課題だとの答弁もありましたが,どのような方策を検討しているのかお聞かせください.

三位一体改革によって義務教育費国庫負担が1/3になった時から,地方間格差は開き,石川県の正規教員の配置率が全国下位にまで転落してしまいました.懸念は現実となりました.正規教員にも講師にも負担がかかっているこの現状を打開し,職務に専念できる環境を整備するために,講師の割合を小さくすることはまず取り組まなければならない課題です.その道筋について所見をお聞きします.

 

もう1点,学力テストの実施については,悉皆調査を求めるとの教育長の答弁がありました.全員参加を選択した各市町の採点業務の委託費負担や採点基準の問題,教員の負担等を考えれば,国の責任で悉皆調査をすべきという考えはわからなくありません.しかし.この調査を抽出にしたのは国費削減だけが理由ではないはずです.

抽出を含め7割の学校がテストを利用しました.3割はテストを受けていません.都道府県で相当の偏りがあります.

希望した自治体は,首長・教育長の考え方や,横並び意識,保護者の意向を意識しての希望ではなかったかと想像します.積極的競い合い志向と,全国でやっているのだから,受けないより受けておいたほうがいいだろうという消極的参加派があったと思われます.いずれもテストに頼る学力向上策と言わざるをえません.

学力テストの呪縛から解き放たれ,本来の教育の在り方を現場とともに考えることが,今こそ教育行政にとって大事なことではないかと考えるのですが.教育長は,この学力テストを中心に置いた教育観についてどのような見解をお持ちでしょうか.

わずか国語と算数・数学の何問かのテストの平均点を学力だと錯覚し,全国平均より何ポイント高いとか低いとか,どこより上だとか下だとかと一喜一憂し,この平均点を上げることこそ学校教育の最重要課題だと言わんばかりの今日の日本の教育哲学,学力観の貧しさに強い不安を覚えるのです.ここには障害のある子どもたちの多くはすでに排除され,特別なケアの対象としか見られなくなっているということも忘れてはなりません.

市町教育委員会や学校現場がこのように近視眼的点数主義に陥っているなら,大局的な視点で教育を捉えよと指導するのが県教育行政の本来やるべきことではないかと思います.国の抽出を基本とする方針に従い,市町にもその趣旨を指導すべきと考えますが,見解をお聞かせください.

OECDの学力到達度調査PISAで日本の国際順位が下がったのは,所得格差の拡大と子どもの貧困率の上昇,教員の多忙化,少人数学級実施の遅れなどにより,学力下位グループが増加したことで平均点が下がったことが原因であることは得点分布をみれば明らかです.各種の学力テストの点数を今後に生かすならば,良好な教育環境に恵まれない子どもたちへの支援こそ,人格と本物の学力を育て,伸ばす最重要課題だと考えますが,この点についても教育長のお考えをうかがいます.以上,質問を終わります.ありがとうございました.

 

答弁

◎知事 盛本議員の一般質問にお答えいたします。
 第一点は、公共サービス基本法についての御質問がございましたが、この法律は超党派の議員立法として国会に上程をされ成立をしたものでございます。この法律では国民の権利として安全かつ良質な公共サービスが確実、効率的かつ適正に実施をされること、二つ目には多様化する国民のニーズに的確に対応した公共サービスが提供されることなど基本理念として定め、公共サービスの質の確保を通じて国民が安心して暮らすことができる社会を実現する、このことを目的として平成二十一年七月から施行されたものと承知をしているわけであります。
 この法律においては、地方公共団体もこの基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえながら地方公共団体の実情に応じた施策を策定をし、公共サービスを実施する責務を有すると、こうされておるところであります。本県ではこれまでも県民ニーズを踏まえて安全・安心を初めとした各種の公共サービスの実施に取り組んできたところでございます。今後とも適切な実施に努めてまいりたい、このように考えております。
 なお、公共サービス基本条例の制定については、基本法自体に自治体の責務が盛り込んでありますことからその必要性については少し時間をかけ、また全国の動向も見きわめながら検討させていただきたい、このように考えております。


◎危機管理監(西和喜雄君) プルサーマルについて臨界事故の際に設置したような専門委員会を原子力環境安全協議会に設置することについての御質問にお答えをいたします。
 臨界事故は事故を隠した企業の体質が問われたものであります。当時、企業倫理、情報公開の専門家が原子力環境安全管理協議会にいなかったため、それらの分野の学識経験者を委員に加えた専門委員会を設置し、再発防止対策について審議を行い、原子力環境安全管理協議会に報告してもらったものであります。
 プルサーマルにつきましては、法に基づき国の許可が必要であり、そのため国において厳格な安全審査が行われることになっております。これまでも協議会におきましては国の許可事項について地域住民の安全確保や生活環境の保全の観点から十分議論が尽くされてきたところであり、県としてはプルサーマルの国の審査結果についても原子力工学の専門家を初め、県内外の学識経験者や県内各界各層を代表する二十七名の委員の皆さんで構成されている原子力環境安全管理協議会においてその妥当性を審議することといたしております。
 以上であります。

 

◎企画振興部長(植村哲君) 私からはプルサーマル計画に関する説明会等についての御質問についてお答え申し上げます。
 プルサーマル計画を進めるに当たりましては言うまでもなく安全・安心の確保、これが大前提でございます。さらに国や電力会社においては広く地域住民に情報を提供するなど地域住民の理解を得られるよう最大限の努力を払うこと、これが不可欠であると、このように考えております。現在、国において安全性の審査がなされておりますし、また電力会社において住民に対する理解活動がなされているところでございます。まずはこうした国の審査あるいは電力会社の理解活動、こちらを見守ってまいりたいと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

◎観光交流局長(蟹由尚君) 日韓交流についてお答えをいたします。
 金沢市の野田山にある尹奉吉の慰霊碑は韓国のガイドブックにも掲載されており、また一部の旅行会社の旅行商品にも組み込まれていることから、これまでも多くの観光客が訪れていることは承知いたしております。一般論といたしまして外国とのゆかりのある施設などを発信することは観光誘客の上では意義があることと考えており、今後とも必要に応じて適切な情報発信に心がけてまいりたい、このように考えております。
 なお、事前学習資料にとの御提案もございましたが、一般的に双方の認識が一致しているとまでは言いがたい事柄については友好関係を促進する観点から特に慎重な取り扱いが必要であると、このように考えております。
 以上でございます。

 

◎土木部長(植田剛史君) 自転車道のハード対策についてお答えをいたします。
 本県の自転車道整備の取り組みといたしましては、郊外部では主にレクリエーションでの活用を目的といたしましてこれまでに加賀や能登の海岸線を走る自転車専用道など合計約百二十五キロを整備してきたところでございまして、全国的にも五番目に長い整備延長ということになっております。また、市街地部におきましてはことし三月、JR東金沢駅前におきまして中央分離帯の縮小や車線の減少を図ることによりまして県内初の自転車レーンを整備したところでございます。さらには今年度は特に自転車利用の多い金沢駅西の五十メーター道路におきまして幅の広い歩道上に自転車通行帯を明示をし、歩行者と自転車の通行を分離する社会実験を実施することといたしております。今後とも地域や県警察と連携を図りながら道路構造や交通の実態などを踏まえましてハード、ソフト両面から安全な自転車通行の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎教育長(竹中博康君) 私からは六点お答えいたします。
 まず、少人数学級についてでありますが、本県におきましては入学後の新しい環境になれない児童生徒に対して一人一人細かな指導を行うことを目的として、平成十七年度から小学校一、二年について、平成十八年度からは中学校一年について、それぞれ校長の判断により三十五人学級を選択できる制度を先行して実施しているところであります。一方、国の計画をさらに先行して実施することにつきましては午前中の石島議員にもお答えしたところでありますが、学級編制基準の引き下げを含む定数改善計画自体が現状では未確定であることから、今後国の動向を十分見きわめた上で適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、少人数学級となれば教員の力量がこれまで以上に問われることは言うまでもなく、県といたしましては子供たちに質の高い教育を保障するためにも教員のさらなる指導力の向上にしっかり取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、教職員の確保についてでありますが、教員採用試験の実施に当たりまして受験者の確保は大きな課題であり、本県においてはこれまで受験年齢制限の緩和や正規教員経験による一部試験の免除など受験対象の拡大を図ってきたところであります。加えて今年度はより積極的に県内外の大学に出向き、学生に対して直接受験の勧誘を行うなどPR活動に努めたところであり、今後とも安定した採用に心がけるとともに、より多くの受験者確保のため受験手続の簡素化を図るなど、できる限りの手だてを講じていきたいと考えております。
 次に、講師割合についてでありますが、本県の公立小中学校の正規職員の割合が全国的に見て低位にあることについては好ましいことではないと認識をいたしております。県におきましては今後教員の大量退職が本格化することや正規職員の割合が低いことから、平成二十三年度の新規採用教員については前年度比百人増の三百五十人としたところであります。また、今後少人数学級による教員数の増加も見込まれることから正規教員の一層の確保に努めていきたいと考えております。
 次に、全国学力テストについてでありますが、さまざまな課題が山積し変化が激しい現代社会において、これから生きる子供たちには困難な状況に立ち向かう確かな学力と意欲、そして行動力が必要であり、目的を持って強く生きていく力が大切であると考えております。
 今般の新学習指導要領では子供たちの生きる力を育てるためには基礎的な知識、技能や思考力の伸長など学力の育成と豊かな心や健やかな体を育てることが大切であり、学校教育を通して知・徳・体をバランスよくはぐくむことが必要であるとされております。学力調査の結果は児童生徒が身につけるべき学力の特定の一部分であり、必ずしも学力のすべてをあらわすものではありませんが、全国学力・学習状況調査の導入によって学力の現状を客観的にとらえるようになり、学校全体はもとより一人一人の子供の学力の実態をとらえ、課題を解決するための指導改善がしやすくなったのではないかと考えております。また、ことしの全国学力・学習状況調査は実施四年目となり、それぞれの市町や学校で調査結果が活用され、日々の教育活動がどうあるべきかを見直し、改善検証を図る取り組みが定着することに役立っているものと考えております。
 次に、学力テストの実施方法でございますが、本年度の全国学力・学習状況調査についてはこれまでの悉皆調査から抽出調査に変更され、本県では小中学校合わせて百三十三校、四一%が抽出の対象となり調査が実施されたところであります。さらに国は抽出調査の対象とならなかった学校においても希望により調査を利用できることとしており、本県においては今回抽出校とならなかった学校すべてが希望利用により調査を受けております。これは市町教育委員会が抽出されなかった学校も調査を受ける必要があると判断したものであり、県教育委員会としてはこうした市町教育委員会の判断を尊重したいと考えております。
 最後に、教育環境についてでありますが、議員御指摘のとおり近年のOECDの学力到達度調査──PISAにおいては我が国は学力の中位層、高位層が減るとともに学力の低い層がふえつつあるという状況にあるところであります。教育環境の充実につきましては文部科学省も課題ととらえており、平成二十一年度の文部科学白書においては我が国の教育水準と教育費をテーマに取り上げ、教育費を切り口に国際比較も行いながら教育の現状と課題が述べられております。こうした中、教育費の問題につきましては高校の授業料無償化に取り組まれたところでありますが、こうした教育費やあるいは教育投資の問題につきましては本県だけで取り組めるものではなく、今後とも国にはしっかりと教育予算を確保し教育環境の充実を求めていきたいと考えております。
 県教育委員会としては本県児童生徒に意欲を持たせ、生きる力をはぐくむためにも学校教育の充実を図ることが重要課題であると考えており、そのためにも教員の資質向上を図り学校の教育力を高める必要があり、今後ともこれらの取り組みを一層充実させてまいりたいと考えております。
 以上であります。

 

◎警察本部長(藤村博之君) 盛本議員の御質問にお答えします。
 まず、自転車事故の状況についてですが、県内の自転車事故につきましては近年減少傾向にあり、本年も八月末現在の発生件数は五百八十六件で前年同期と比べ百十八件、約一六・八%減少しております。そのうち重大事故につきましては死者数が六人で前年同期と比べ一人増加、重傷者数については六十六人で前年同期と比べ七人減少している状況でございます。また、自転車事故の特徴ですが、この五百八十六件中、自転車と自動車の事故が五百七十七件、自転車同士の事故が三件、自転車と歩行者との事故が二件、自転車の単独事故が四件という状況で、自転車事故の大半が自動車との衝突によるものであります。形態別では出合い頭や右左折時の衝突が約八割を占め、自転車側の原因といたしましては安全不確認や一時不停止といったものが多い状況であります。
 次に、自転車の交通安全対策でありますが、県警察といたしましては自治体や学校等と連携をして児童生徒、高齢者等幅広い自転車利用者に対して自転車の通行ルール等の周知徹底を図っているほか、最近はスタントマンによる事故の再現や自転車シミュレーターの活用による参加、体験、実践型の自転車教室を開催するなどして教育内容の充実に努めているところであります。また一方で、無灯火や二人乗り、一時不停止など歩行者や通行車両に危険を生じさせるような自転車の違反行為に対してはイエローカードによる指導を徹底しているところであり、今後とも通行ルールの周知やマナーの向上を図って自転車事故の防止に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

 〔盛本芳久君発言を求む〕

◆盛本芳久君 自席から教育長に再質問させていただきます。
 学力テストの希望についてですけれども、結局一〇〇%の学校が受けるということになった。これについては「市町の教育委員会の意向を尊重して」と、こういうふうに今教育長御答弁されましたけれども、以前教育長自身が「悉皆であることが望ましい」と、こういう発言をされていたと思いますので、そのことと今の答弁との関係性というかそれをもう一度お答え願いたいと思います。

 

◎教育長(竹中博康君) お答えいたします。
 今回の学力テストは前回までは悉皆調査で行っておりまして、今回抽出調査と。さきの答弁で、市町の教育委員会から悉皆調査で全部希望調査をしたいというお話でありました。そのことは我々としては尊重したいし、私としてはやはり子供たちの教育の実態を把握するといいますか、子供たちの学力の実態をとらえ課題を解決するための指導改善に役立てるということで、県としてもこれは悉皆調査でぜひやっていただきたいと。国のほうも抽出か、あるいは悉皆かということについては現時点でどちらが望ましいか結論を示していません。したがって、引き続き議論が必要だということで私は理解しておりますので、今後とも県としては悉皆調査をぜひやっていただきたいというふうに思っております。
 以上であります。

◆盛本芳久君 国の考え方は調査としては抽出で、統計学的にもそれで一応十分であると。しかし、そのテスト問題は利用して結構ですよと、こういう希望になっているということなので、その方針に従って教育長からの悉皆でやるべきだと考えておられるということになればこれは市や町の教育委員会もそれの影響を受けると思いますし、やはり国と同じような立場でぜひいていただきたいと、そういうふうに要望するんですけど、どうでしょうか。

 

◎教育長(竹中博康君) 繰り返しになりますけれども、市町教育委員会では希望したところが全部受けたいという希望がありました。私も悉皆調査が望ましいと。これは鶏と卵でどちらが先かは別としまして、いずれにしましても子供たちの学力の実態をとらえて課題を解決するための指導改善に役立てている、そういうことが目的でやっております。これは子供たちのためにやっておるものでありまして、不公平感があってはならないというふうに私は理解をしております。ですから悉皆でぜひお願いしたいというふうに思っております。
 以上です。