石川県議会議員 盛本芳久

2009年度予算知事要望


清風・連帯2009年度予算知事要望行いました。
                       2008年12月25日:県庁知事室
2008年12月20日
石川県知事谷本 正憲 様
石川県議会「清風・連帯」
代表 宮下 登詩子
2009年度石川県予算に係る要望書


 私たち清風・連帯会派は,公平で公正な社会の実現のため,生活者・勤労者としての市民の視点に立った施策の推進や,要求の反映に努めてきました。しかし,近年の所得・雇用・福祉・教育などにおける社会的・地域的格差の拡大に加えて,4月から始まった後期高齢者医療制度,食の安全に関わる諸問題の続出,7月の集中豪雨による被害,世界的規模の金融危機とその影響による企業倒産や雇用状況の悪化など厳しい状況が続いています。

 こうしたなかで,政府・与党は,国民が求める衆議院の解散総選挙や有効な景気対策を先送りし,機能不全に陥り,ますます社会の閉塞感を強めていると言わざるを得ません。今こそ生活者の立場を最大限重視する緊急の対策が求められています。

 また一方では,元空幕長・元小松基地指令の田母神氏の論文問題は,憲法を無視し暴走の懸念さえ抱かせる自衛隊の内部実態を明らかにしました。シビリアンコントロールの再構築が早急に求められています。

 石川県においても,世界的金融危機の影響が中小企業の倒産や雇用不安をますます拡大させています。また,格差社会のゆがみや閉塞感ともつながる凶悪犯罪の発生はもう都市部だけの問題とは言えなくなっています。地方分権推進の先頭に立つ知事におかれましても,この厳しい状況を克服し,生活の安定と平和を希求する石川県民の立場にたって,その施策の推進を願うものであります。

以下,4点の基本的考え方のもと,具体的項目について要望いたします。

1.構造改革路線から人間重視の政治への転換

2.生活者・社会的弱者の視点からの対策の推進

3.自然と人間の調和を大切にした施策の推進

4.憲法理念の実現と平和施策の展開

  

1.構造改革路線から人間重視の政治への転換

 

 構造改革路線による地方交付税の削減継続は,県や市町財政を大きく圧迫し続けています。それは結果として,公務員の削減や非正規雇用者の増など物言えぬ者たちへのしわ寄せとして現れています。私たちは効率・競争という数値に支配された現在の社会のあり方を大きく変えるべきと考えます。特定の企業・階層の利益や巨大公共事業に偏らず,雇用や福祉・教育・子育て支援など人間重視型の投資への転換を求めます。

 

2.生活者・社会的弱者の視点からの対策の推進

 

 年金や医療など社会保障費用の個人負担の増加が次々と進められています。行き過ぎた規制緩和は所得格差をますます拡大し,貧困層を生み出してしまいました。障害者や子ども,お年寄り,女性など社会的弱者はその矛盾の前面に立たされています。私たちは子どもの人格を尊び,お年寄りが尊敬され,障害者と健常者が助け合い,女性と男性が互いの生命と人権を尊重し,公平・公正,自由と民主主義,豊かな個性を大切にする共生の市民社会の実現を求めます。

 

3.自然と人間の調和を大切にした施策の推進

 

 大量生産・大量消費・大量廃棄といった経済構造を,自然と人間の調和を保つ持続可能な循環型に転換すべきです。地産地消実現の下で食の安全を守り,農林水産業の多面的な機能を重視し,第1次産業を維持,発展させるための施策の推進を求めます。また,地球温暖化につながる化石燃料の消費をおさえ,核廃棄物を増やし続け,震災の不安も大きい原発から脱するため,省エネルギーと自然エネルギーの研究・開発の推進を求めます。

 

4.憲法理念の実現と平和施策の展開

 

 戦後63年,国家間の問題解決を武力に求めることを放棄した国だったからこそ現在があり,これからも国際社会において名誉ある地位が占められると考えます。「戦争のできる国」づくりに傾斜する動きには厳しい目を向け,憲法の理念を実現するため,平和と人権尊重を基本として,近隣諸国との友好を地方から推進する平和施策を求めます。


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重点要望事項

 

〔雇用、労働〕

○ 非正規雇用労働者の解雇等による安易な雇用調整を行わないよう指導を強化すること。

○ 失業によって住居等の生活基盤を失った労働者を支援する緊急対策を実施すること。

 ○ 勤労者組織の社会貢献・福祉活動を支援し,対話の場を設けること。

 

〔福祉、社会保障〕

○ 介護・保育に従事する人たちの労働環境を改善すること。

○ 障害者自立支援法施行に伴う障害者世帯や施設の負担増軽減を継続して行うこと。

○ 国民皆保険制度の維持・充実に向け,高齢者医療制度の再構築を国に求めること。

 

〔教育〕

 ○ 教育予算を増額し,効率と競争に傾斜した教育を,ふれあいと学びあいの教育へと転換すること。

○ 教職員の労働安全衛生体制を確立すること。

○ 高校再編にあたっては,拙速を避け,地域・保護者・教職員との十分な話し合いを継続すること。

 

〔護憲、平和〕

○ 自衛隊のシビリアンコントロールの確立を国に強く求め,県民の不安を払拭すること。

○ 近隣アジア諸国との平和友好事業を推進すること。

○ 能登空港,整備が進む金沢港,七尾港など港湾施設の軍事利用を禁止すること。

 

〔経済、産業〕

○ 中小零細企業の金融円滑化に向け,金融機関・使用保証協会への働きかけを強化すること。

○ 伝統産業の販路開拓や業界への支援を強化すること。

○ 中小地場産業の意欲を引き出す施策を推進し,支援を強化すること。

 

〔環境、資源、エネルギー〕

 ○ 志賀原発の耐震対策に万全を期すようを指導すること。震災の危機管理体制を強化すること。

○ 原子力エネルギーへの依存から自然エネルギー・新エネルギーへの転換を推進すること。

○ 環境関連産業やリサイクル施設,研究開発等への支援を拡大すること。

 

〔食糧、農林水産業〕

 ○ 中山間地,小規模農業者への支援と担い手の育成を進め,里山・里海の保全をはかること。

○ 県内農林水産物の県内での消費拡大のシステムを構築すること。

○ 食の安全を守るため,食品検査員やモニターを充実し,検査・監視体制を強化すること。

 

〔交通対策〕

○ 公共交通機関の利用を促進し市街地へのマイカー乗り入れ規制の工夫をすること。

○ 人口減少地域の住民の足を守る交通手段を確保すること。

 ○ 新幹線の並行在来線の利便性を確保すること。

 

〔行財政改革、地方分権〕

○ 地方へのさらなる権限移譲と財源の確保を国に求める活動を推進すること。

○ 大型公共事業への過度な予算配分を行わないこと。

○ 安易な人員削減によって公共サービスの質を落とさないこと。

 

〔その他〕

○ 浅野川洪水の被害者には,十分な説明と支援を行うことにより早期に問題の解決を図ること。

○ 社会全体で子育てをする環境づくりのため,「育児の日」の周知徹底を図ること。

○ 高齢者の詐欺・悪徳商法被害を防ぐため,相談体制の充実を図ること。