石川県議会議員 盛本芳久

一般質問・討論に立つ/県議会2月定例会

 2010年2月定例会は2月1日から19日の日程で開催されました。

 今議会では,一般質問と公務員の勤務時間の変更に伴う条例改正の継続審査に反対する討論を行いました。

一般質問の要旨は以下のとおりです。

100208質問北國.jpg1 知事の政治姿勢と地方分権について

(1) 知事は、一貫して地方分権の推進を訴えて来たが、その目指す姿の中で、知事と市町の首長、議会、住民の在り方について、どのように描いているのか。

(2) 知事選挙において、ともに石川をつくる主体である県民に対して、地方分権推進に向けどのようなメッセージを届けるのか。

 

2 新幹線並行在来線問題について

 (1) 並行在来線のJRからの経営分離という手法そのものを見直し、国の総合交通対策の中に並行在来線を明確に位置付けるとともに、地方交付税の増額など国の財政支援を含む支援制度の早期確立を求める必要があるが、基本的な考え方を聞く。

 (2) JR貨物列車の走行実態を踏まえた線路使用料の増額を国の負担で措置することも求めていく必要があると思うが、所見を聞く。

 (3) 並行在来線の維持、存続には、国、JR、地方自治体の一体的協力体制が重要であり、このことを国に明確に打ち出させる必要があるが、関係自治体の認識の共通化と具体的に連携した行動をどのように展開していくのか。

 

3 障害者の権利に関する条約に関わって

(1) いしかわ障害者プランについて

  ア いしかわ障害者プラン2007は、石川県障害者施策推進協議会で、定期的にプランの実施状況等を審議し、プランを推進するとされているが、協議会でどのような審議が行われてきたのか。また、障害者の権利に関する条約発効に関連した審議が行われてきたのか。

イ プランの中間点を過ぎ、まとめの時期に入ろうとしているが、障害者の権利に関する条約の理念が県の施策にどのように反映されてきたのか。また、次期計画の策定にどう活かされていくのか。

ウ 障害者施策も地方の主体的な判断と実行が重要であり、国の方針を待つのではなく、県として積極的に世界の流れに遅れることなく対応すべきと思うがどうか。

(2) 義肢装具の供給について

  ア 義肢装具の供給が利用者のニーズに対応できていない。また、技術者の定着が十分でないと聞くが、こうした課題についての現状認識を聞く。

  イ 県リハビリテーションセンターのバリアフリー推進工房に義肢装具の専門技術者を配置し、日常的に利用者のニーズに応える体制を作るべきと思うが、見解を聞く。

(3) インクルージョンと教育について

  ア 子ども、保護者の意思による就学先を保障する、就学相談の在り方についての認識を聞く。

  イ 市町による、小中学校への特別支援教育支援員の配置の拡充について、県の支援も含めてその方針を聞く。

  ウ 障害児の高校への進学について、受検に当たっての合理的配慮はどのように行われているのか。また、学力検査による排除をやめ、少なくとも定員内であれば受け入れの方向を基本にすることを指導すべきと思うが、見解を聞く。

 

4 介護職への就職と雇用に関して

(1) 介護職が人材不足と言われているにもかかわらず、採用が進まない要因を、ど100208質問北中.jpgのように認識しているか。

(2) 介護職の労働は過酷であり、県としても、認知症高齢者グループホームに対し独自に夜勤の職員配置など介護基準を策定したが、この基準の達成状況はどの程度か。また、今後の実効性ある指導についての所見を聞く。

(3) 国、県ともに介護職の待遇改善に取り組んでいるが、現場の実感とはなっておらず、意欲を持った人材確保にもなっていない。人権を深く理解した経営理念を持つ事業者を増やし、採用を進める施策を実現すべきと思うが、見解を聞く。

 

 

質問と討論の全文は,以下のとおりです

 

一般質問

1.知事の描く地方分権について

 地方分権の時代と言われます。三位一体改革など負のイメージを払拭するためか,現政権は「地域主権」と称しています。これを否定する人はいませんが,どのような形が地域主権なのか,そのめざすところは何なのか,様々な理解があるようです。

都道府県よりもっと小さな単位の自治体,現状であれば市区町村を「基礎自治体」と位置づけ,自分たちのことは自分たちで決めるための裁量権を拡大し,財源確保の徴税権と立法(条例)機能を強化することを目指すことが地方分権だと言われます。現状はどうでしょうか,パフォーマンスが上手な知事が,中央官庁や中央政界を批判するのを応援する,そんな知事を選んでひっぱっていってもらおうとの風潮は,地方分権の目的から大きくそれているように思います。「金はいるが,責任はいらない」という甘えがまだ地方にあると言われています。「知事さんが国と戦っているから応援しよう,もっと霞ヶ関の官僚をやっつけてもらおう」とか「もっと補助金をぶんどってもらおう」という意識は捨てなければならないと思います。

中央のほうが地方よりも一段上にあるとか,国が加害者で,地方は被害者というような固定観念に,住民自身が陥っては,とても地域が主権を握ることはできません。

地方自治では,首長と議員を別々に直接選挙するわけですから,議員が首班指名をして総理大臣を選ぶ国会よりも直接民主主義的であります。地方自治は民主主義の学校であると言われる所以(ゆえん)です。

知事は,一貫して地方分権の推進を訴えてこられましたが,そのめざす姿の中での,知事と市町の首長,議会,住民の在り方と責任についてどのように描いておられるのかお聞きしたいと思います。

国と47都道府県という集権的構造は,戦前に確立された上位下達の統治の枠組みであり,市民社会が成熟していない時代にはそれなりに合理的でありました。ここからの脱却には,我々議員も含め,少なからぬ努力が求められると思います。

知事選挙において,ともに石川をつくる主体である県民に対して,地方分権推進に向けどのようなメッセージを届けるのかお聞きしたいと思います。

 

次に,新幹線並行在来線問題について伺います。

 整備新幹線の開業に伴い,JRから経営分離された並行在来線を抱える全国の地方自治体は,第3セクター鉄道の厳しい経営を支えるために多額の財政負担を余儀なくされております。

 201012月東北新幹線の全線開業に伴い,JRから経営分離される「青い森鉄道」は200212月開業の目時(めとき)~八戸間から青森までの延伸開業となります。これまで青森県は「青い森鉄道」に対して,毎年2億~3億円の繰入金を投入してきましたが,青森延伸開業後はその5倍を超える16億円に膨張する事業許可申請を提出しています。

 200212月に発足した「IGR岩手銀河鉄道」を抱える岩手県では,施設設備投資分や,通学定期料助成分の支援策を講じてきましたが,本年度から赤字転落が見込まれ,その補填の協議が必要になっております。

 また,199710月発足の「しなの鉄道」を抱える長野県では,経営赤字による債務超過で2004年に103億円を債務放棄したほか,多額の借入金返済への対応,北陸新幹線建設に伴う長野以北の並行在来線問題の新たな対応等々,今後に多大な県費負担が待ち受けていると言います。

 さらに,「肥薩オレンジ鉄道」を抱える熊本・鹿児島両県においても,この鉄道への赤字補填に関する議論が始まっております。

 このように並行在来線を抱える関係地方自治体では,厳しい財政事情の中で,地域住民の生活路線を守るための苦闘を強いられています。

 一方,JR貨物の貨物列車走行に伴う線路等の維持については,旅客車両だけの走行と比較すれば,関係地方自治体の保守管理費は膨大な負担となっているのが実態です。しかし,わが国の物流の大動脈の役割やCO削減を考慮すれば,これにかかる経費は,国策として国費でまかなうのが当然であると考えます。

 去る1215日開催された国土交通省の「整備新幹線問題検討会議」においては,新たな検討課題として「並行在来線維持のためのJRの支援策」「貨物鉄道ネットワーク維持のあり方」の2項目が加えられたと報道されていますが,国の支援制度についてはいまだ明確ではありません。

 並行在来線の根本的な問題は,整備新幹線開業時における並行在来線のJR経営分離に関係自治体が同意した当時から見ると,現在の関係地方自治体を取り巻く財政事情は格段に厳しくなっており,現行の方式で,関係地方自治体が並行在来線を経営していくことは最早(もはや)困難な段階にきていることにあります。

 よって,まず開業時のJR経営分離という現行の方式そのものを見直し,国の総合交通対策の中に並行在来線を明確に位置付けるよう求めることを基本に,自治体の負担解消のための地方交付税の増額など国の財政支援を含む支援制度の早期確立を求める必要があると考えます。まずこの基本的な考え方から見解を伺います。

 そして,国の強力な指導により,JRの支援策を実現させることも極めて重要であります。また,JR貨物列車の走行実態を踏まえた線路使用料の増額を国の負担で措置することも求めていく必要があると考えます。この点についてはどのような所見をお持ちでしょうか。

 長野・新潟・富山各県には北陸新幹線の開業・開通効果について懐疑的な意見も存在していることは事実であり,当面終点となる石川県の思いとはかなりの温度差があるようです。しかし,並行在来線問題においては共通の課題を抱えていると言えます。さらには,既存の問題を抱えている東北の青森・岩手等の関係各県とも認識を共有できるはずであります。

 並行在来線を維持・存続させ,地域住民の生活路線として活性化させるためには,国・JR各社・地方自治体の一体的協力体制が重要であります。このことを国として明確に打ち出すよう,関係自治体の認識の共通化と具体的に連携した行動をどのように展開していくのかお聞かせください。

 

次に,障害者の権利に関する条約に関わって質問いたします。

2007929日,日本政府は,国連「障害者の権利に関する条約」に署名をしました。100を超える国々が署名する中,待たれていた日本政府の署名がついに行われました。この間,隣の韓国では,障害者の悲願である「障害者差別禁止法」が成立するなど,インクルージョンに向かう世界の潮流は加速しております。署名は,国内批准のための第一歩であり,今後の国内法整備に向けた取り組みが急がれます。

この「障害者の権利に関する条約」は,障害者の尊厳,個人の自律と自立,非差別,社会への完全参加等を一般原則として規定するほか,法の下の平等,身体の自由,アクセシビリティーすなわち様々な製品やサービスへのアクセスのしやすさ,家族,教育,労働等のさまざまな分野において障害者の権利を保障・促進する規定を設けた包括的・総合的な国際条約であります。

その根底に流れる理念は,障害とは個人的なものではなく,社会及び環境との関係から生まれるものであり,あらゆる分野において,障害のない人との実質的な平等を図るために,今まで障害者を排除してきた社会の側が変化することを求めております。また,障害者は権利の主体であり,障害者のことを障害者抜きには決めないという原則が確認されております。

「障害者の権利に関する条約」は,各国政府のみならず,障害に関するNGOの参画のもとで議論され,5年の歳月をかけて採択されたものです。この条約の採択の経過を尊重し,最終的に国会承認を受けることになる政府の公定訳に,障害者及び障害者団体等の意見を十分に反映するとともに,この条約の基本であるインクルージョンの理念に沿って,関連する国内法・制度の見直し,整備に当たり,速やかに批准が行われることが待ち望まれております。

 

さて,石川県においては,2011年度までの障害者施策の方針と目標を示した,「いしかわ障害者プラン2007」が現在進行中であり,障害者基本法第26条の規定に基づく石川障害者施策推進協議会において,定期的にプランの実施状況等について審議を行い,本プランを推進すると規定されております。

石川県障害者施策推進協議会においてどのような審議が行われてきたのか,そして,この条約発効に関連した審議が行われてきたのか,審議の状況と内容についてお聞きいたします。

このプランは,前身の障害者プラン2002の「ノーマライゼーションとリハビリテーション」を基本理念として受け継いでいます。国連「障害者の権利に関する条約」は,リハビリテーションや福祉の観点の前に,人権を重視します。障害は個人にあるのではなく,社会がつくりだしているという認識です。障害者への合理的配慮を欠くことは差別であるという認識です。

プランの中間点を過ぎ,まとめの時期に入ろうとする今,「障害者の権利に関する条約」のこの基本理念が県の施策にどのように反映されてきたのか,また,次期計画の策定にどう活かされていくのか,伺います。

障害者施策も地方分権,主体的な判断と実行が重要です。国の方針を待つのではなく,県として積極的に世界の流れに遅れることなく対応することを求めます。

 

次に,障害者施策の,具体的な課題について2点伺います。

一つは,手足に障害のある方々が利用する義肢装具のニーズと供給に関してであります。金沢市は検討懇話会を設け,新しい支援事業をスタートさせていくと聞きます。利用者は,公的な製作施設の設置を求めております。民間事業者の製作・改良能力の実情が利用者のニーズに十分対応できていないという話も聞こえます。そして,しっかりした技術を持った義肢装具士の事業所への定着が十分でないという実情もあるようです。そのような国家資格を持った技術者が,どのように力を発揮しているのか把握も十分なされておりません。数年すると金沢市内において義肢装具の供給ができなくなるのではないかという不安の声も届いております。これは,金沢市にとどまらず県全体の問題であります。

まず,この供給と技術者の課題についてどのような現状認識なのかをお尋ねいたします。

次に,この課題解決への方策として利用者が求めていることですが,県のリハビリテーションセンターのバリアフリー推進工房に義肢装具の専門技術者を配置し,製品開発,改良,調整を行い,日常的に利用者のニーズに応える体制を作るべきという提案です。この実現に向けた検討について見解を伺います。

 

もう一点,インクルージョンと教育についてであります。

インクルーシブ教育とは,障害のあるなしにかかわらず,すべての子どもを受け入れ,共に育ち学び合う教育を意味します。つまり,「排除しない」教育ということです。

2006年,国会においても,「今まで文科省は,分離別学に固執してきたが,いよいよまさにインクルージョンという思想を取り入れ,分離別学を転換すると,確認してよいか。」という民主党議員の質問に対して,当時の小坂文部科学大臣は,「ようやく日本もインクルージョンの考え方に近づいてきている。今すぐ完全なインクルージョンの考え方で進めるのは,難しい面もあるが,私が大臣として携わったこの機会に少しでも前に進めたいと思って,答弁に臨んでいる。わたしは,流れはインクルージョンであることを,ここではっきりさせておきたいと思う。」と答弁しました。文科省は,「特別支援教育」の充実が,インクルージョンへの道筋だと考えています。

ところが,特別支援教育が言われ始めてから,特別支援学校・特別支援学級の設置と,そこに通学する児童生徒が全国的に増えています。「特別な教育ニーズ」が強調され,普通学級から出かけて,通級指導を受ける軽度発達障害といわれる子どもたちの数も増え続けています。

特別支援教育と同時に,「競争によって世界一の学力にする」ための「全国一斉学力テスト」も実施さました。その学力テストから障害児あるいは学力の低い子が排除されたことがニュースとなりました。

能力主義・効率主義の追求によって,障害のある子は,普通学級に居づらくなっております。インクルージョンどころか,更なる分離が始まっております。一人一人の多様な学びがあると言われながらも,普通学級では,みんなと同じペースで同じことが出来なくてはいけないことが要求されています。できないことがその子の「特別な教育ニーズ」とされ,これまで以上に,特別な場で教育されているのが,今の特別支援教育の実態です。

 どのような場で学ぶのか,その選択は本人と保護者の意思によって決定されるべきです。特別支援学校や学級の必要性は全く否定するつもりはありません。ただ,普通学級で地域の友達と一緒に学びたい,生活したいという希望は,ストレートに認められる状況ではありません。普通学校の現場での豊かな教育実践と障害のある子どもの充実した学校生活の実態を示す例が多くあるにもかかわらずです。

 また,90数パーセントを超える高校進学率の中,テストの点数で測られる「学力」によって,あなたは高校で学ぶ資格なしと判断されている子どもたちもいるのです。

 子ども・保護者の意思による就学先を保障する就学相談のありかたについての認識を伺います。

また,市町による,小中学校への特別支援教育支援員の配置の拡充について,県の支援も含めてその方針を伺います。

 障害児の高校への進学については,受検にあたっての合理的配慮はどのように行われているのかお聞かせください。また,学力検査による排除をやめ,少なくとも定員内であれば受け入れの方向を基本にすることを指導すべきと思いますが,これについても見解を求めます。

 

次に,介護職への就職と雇用に関してうかがいます。

 「厳しい不況が続く中,雇用の受け皿として期待された介護分野への就職が伸び悩んでいる。」このような報道を何件か見ました。そしてまた,私自身にもそのような相談がありました。

 介護職への求人倍率は高いのに,なかなか就職に結びつかない。条件を見て書類を提出するが,なかなか面接までたどり着かない。面接までこぎつけても,足元を見るような過酷な条件を提示されることがある。介護の仕事に意欲とやりがいを感じているが,思いはくみ取ってもらえない,本当に介護をしたいという心を持った人間を求めているのか疑問だ。条件に合う資格で求職しているが,実際はもっと高い資格が求められているように感じた。このような状況が介護職の求職者が訴える共通した内容です。

 求人側は当然良い人材を求め,求職者側は良い労働条件と意欲に応える対応を求めます。ここに相当の乖離がみられます。いわゆるミスマッチが起こっており,就職・採用に結びついていません。

 この不況の状況で,どちらかと言えば求人側は強気であり,買い手市場ということができます。ですから,私はあえて求職者の側に立ってこの問題を考えてみたいと思います。

 介護職は人材不足と言います。介護に関する資格所有者は大きくその数を超えていると考えられます。しかし,雇用は進みません。なぜか,これは一言でいえばこの仕事が「キツイ」からであり,その労働内容と継続していくための対価としての賃金があまりに低いということです。

 まず,介護分野における求人と採用の現状について,すなわち,採用が進まない要因についてどのように認識しているのか伺います。

 夜勤などへの人員配置が法の範囲であっても,その最低基準のもとでは介護職員の労働は過酷です。そして,そのことは即,介護される人の人権を脅かすということにつながります。2005年「グループホームたかまつ」での事件の教訓もここにあったと思うのです。ですから,県としても独自に夜勤の職員配置など介護基準を策定したわけです。この基準の達成状況はどの程度でしょうか。また,今後の実効性ある指導についての所見を伺います。

 国・県ともに介護職の待遇改善にとりくんでいることは承知をしておりますが,現場の実感とはなっていませんし,意欲を持ってこの職をめざす人材を確保することにもなっていません。更に一歩進んだ対策が必要と考えます。ハードが小規模でも,多少不十分でも,人権を深く理解した経営理念をもつ事業者を増やし,ソフトとしての職員採用を進める施策の実現を求めます。見解をお聞かせください。

 

 

討論

私たち清風連帯は知事提出議案すべてに賛成し,議案第22号「石川県職員の勤務時間,休日および休暇等に関する条例の一部を改正する条例について」の継続審査については,その必要がないものと判断し,反対いたします。以下その理由を述べます。

 

本議案提出の根拠は,石川県人事委員会の昨年1014日付けの勧告にあります。

人事委員会は公務員の労働基本権制約の代償機関であり,公務員の勤務条件について講ずべき措置を議会および知事に対し勧告することが地方公務員法第8条に定められております。また,勧告は地方公務員法第24条「均衡の原則」に基づき行われたものであります。

 

議員各位ご承知のことと存じますが,地方公務員法第24条第5項の条文を読みますと,「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当たっては,国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」となっております。これを「均衡の原則」と称しております。

石川県もふくめ全国の都道府県は,現状の勤務条件が均衡を失する状態にあると判断し,条例改正を完了し,または行おうとしているということであります。

 

議案の内容の,①時間外勤務手当の支給割合の引き上げは,「労働基準法」,②育児休業の取得範囲の見直しは,「地方公務員の育児休業等に関する法律」,③時間外勤務の制限については,「育児介護休業法」,それぞれの法改正に連動し条例改正を必要とするものでありますし,今回議論になっている勤務時間の見直しは国家公務員,他の都道府県と均衡を図るための改正案であります。いずれも,知事・議会に勧告されたものでありますから,法に基づき,知事の改正案提出と議会の議決は当然行われるべきものであります。この点についての議員各位の異論はないと思います。

 

さて,継続審査の必要性についてでありますが,以上述べた内容につきましては,総務企画常任委員会において議論されてきたことでもありますし,本会議でも議員の質問に対する十分な説明が行われたものと理解します。さらに審査を継続する必要はないと考えます。

仮に,審査を継続するとするならば,何について審査を行うのでしょうか。これまでの議論からすれば,勤務時間の短縮に絞られると思いますが,唯一石川県だけが現状の勤務時間を続けて行くとしたとき,この状態が国および他の地方公共団体との均衡を失しているかどうかという審査をすることでしょうか,あるいはまた,人事委員会勧告制度や地方公務員法そのものを問題にしようというのでしょうか。いずれにしても,継続審査によって結論を得る課題ではありません。

 

公務員の勤務条件は恵まれている,勤務時間短縮は民間労働者の厳しい労働環境から見てどうなのか,このような県民の声があることも承知しております。しかし,議会としては,民間であるか公務員であるかを問わず,望む県民すべてが仕事を得,心身ともに健康でやりがいを持って働くことができる環境づくりに力を注ぐべきであります。労働者間の対立をあおることや,あちらが厳しいからこちらもがまんすべきだ,こちらががまんしたのだからあちらも我慢を,というような,後ろ向きの平等を議会は先導すべきではないと考えます。また,超過勤務手当の増を問題にするのであれば,その前に,県庁職場,学校現場において常態化しているサービス残業こそ議会は問題にすべきであります。

 

議会において,公務員の適正な勤務時間について議論することは必要であり,人事院・人事委員会の勧告が万能とは思いません,しかし,今回の条例改正案については,速やかに議決すべき内容であり,審査継続が,4月1日施行を念頭に置いた条例改正を前提としているのであれば,臨時議会の開催が必要であり,これは時間と経費の無駄といわざるを得ません。

 

以上,常任委員会において審査を継続する必要性を認めることはできません。議員各位の懸命なる判断を期待し討論を終わります。