石川県議会議員 盛本芳久

一般質問に立つ/2009年12月定例会

 12月8日,今回も一般質問の機会を得ることができました。

 今回は,石川の道,白峰化石壁,高校再編その後をテーマに質問に立ちました。
 議員の皆さんからは,いい質問だったとほめていただきましたが,答弁はどれもいまひとつ。まあ,しかたない面もありますが,今後も継続して追及していきたいと思います。

 

一般質問 要旨

 

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1 石川の道について

(1) 石川の道路整備事業そのものを抜本的に見直す時期が来ていると思うが、日本と石川の道路行政の歴史と、今後の行方について所見を聞く。

(2) 石川の里山・里海の道路のいくつかの舗装を造り替え、土の感触を味わえる田舎の道復活プロジェクトをスタートさせてはどうか。

(3) 金沢城公園内のアスファルト舗装の一部を、土または砂利道に変えてはどうか。

(4) しいのき迎賓館やいもり堀の整備の後、いもり堀通り及びアメリカ楓通りを歩行者・自転車専用道としたり、あるいはハンプなどにより自動車スピードを抑制する道路構造へと改良してはどうか。

(5) 金沢外環状道路海側幹線の本線の建設費はどれくらいか。補助金で取得した土地の目的外利用の問題はあるが、建設計画を凍結し、建設用地に太陽光パネルを設置して発電をしてはどうか。

 

2 白峰化石壁の調査について

(1) これまで白山市が続けてきた調査への負担を中止するとのことだが、本物の学術文化を大切にする県が、この世界に誇る化石壁の調査・保護・普及から手を引くべきではなく、支援を続けるべきと思うがどうか。

(2) 白山市が観光施設として位置づける恐竜パークを、教育・普及施設として、県立自然史資料館の分館として位置づけ、学習の場としてさらに活用すべきと思うがどうか。

(3) 白峰や勝山の手取層群を、白山麓の自然の中で人が集い、交流人口を拡大する場として国内外に発信するため、ユネスコの世界ジオパークの認定に向けた検討を始めてはどうか。

 

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3 高校再編のその後について0912gikai3.jpg

(1) 輪島高校及び飯田高校の総合学科の生徒は、過密スケジュールの中で教室を移動しなければならないが、バスによる移動に問題はないのか。その状況と来年度に向けた改善策について、教室の増築も含めて見解を聞く。

(2) 統廃合に伴って、複数の学校で授業を受け持つ兼務の教員が多く配置されており、兼務の解消に向け教職員配置に最大限の配慮を行うべきであるが、現状と今後の対応について聞く。

(3) 来年度も引き続き実習に使われる二つの実業高校の耐震化は、完了しているのか。

(4) 図書館司書、養護教諭、事務職員及び現業職員の配置について、移動先校舎での勤務も含め、十分な配慮が必要と思うが、その配置方針について聞く。

 

質問全文

200912月定例会 一般質問 09.12.8

 

1.石川の道について

 行政刷新会議の「事業仕分け」は,国民に大きな期待といくらかの戸惑いを生じさせております。

どのような団体も業界も予算付けと増額を期待し,要望を行ってきました。前政権は,この要望に答え続け,その結果膨大な財政赤字を生みだしてしまいました。

この借金を減らすべく「小さな政府」をキーワードに小泉構造改革が進んだのですが,それは,強い者の利権を温存し,敗者には自己責任を強いる競争社会,格差拡大の社会でした。

政官業のしがらみを断ち切ることは容易ではありませんし,癒着があったとすればこの根絶には,政権交代以外に解決の方法はありませんでした。それが衆議院選挙の結果です。

国民は,事業仕分けに,厳しいしがらみ解体作業の一つの断面をみているのではないかと思います。自分に関係のある仕分けには疑問を,興味や関心のない分野の見直しには喝采を送っています。科学技術,基礎研究,スポーツ,芸術,文化に関連する予算の仕分けに関係者の抗議が起こっています。これからの政治判断は極めて重要であります。

 さて,国家予算において大きな割合を占める公共事業にもメスが入ろうとしています。「コンクリートから人へ」をかかげる政権とすれば当然でありましょう。OECD統計によれば,日本の公共事業費は,対GDP費6.0%で世界一,アメリカの3倍,ドイツやイギリスの4倍になっています。戦後の復興期ではなく,今です。一方,教育費はOECD最下位,社会保障費はアメリカに次ぐワースト2です。

 仕分け作業では,道路整備事業1.2兆円の整理・削減が指摘されました。日本は世界一の道路王国です。可住面積当たりの全道路延長は,2位のイタリアの4倍,アメリカの7倍にも達しています。しかも,この数字には農道や林道は含まれていません。

この日本の道路建設は,当然のことながら,税金によって支えられてきました。1953年の道路整備費の財源等に関する臨時措置法,55年地方道路税,56年軽油引取税,66年石油・ガス税,68年自動車取得税,71年自動車重量税,74年暫定税率導入へと道路特定財源が確保され続けました。道路特定財源で道路の借金を返済し,この残金を元手にまた借入れて道路をつくるという「道路特定財源の罠」に全国の自治体がはまり込んでいます。

もちろん日本の道路建設の技術は世界最高の質を誇り,自動車関連産業の発展もこれと深く関係していることは当然です。しかし,この道路関係費に食い込まない限り,新しい日本の姿は見えてこないのではないかと思います。

 さて,石川県の道はどうなのか,県内市町からは道路建設・整備の要望は絶えることなく続いています。どこまで道路建設を進めるのでしょうか。

 石川県建設技術協会50年記念誌によれば,昭和33年の県道・国道の改良率は26%,舗装率は5%でした。私は,小学校で「ラケット道路」という名を教わりました。完成は昭和41年です。昭和45年県土改造高速ネットワーク構想が発表され加賀から珠洲まで200kmの新規完成道路建設が計画されました。加賀産業道路,能登海浜道路,能登半島縦貫道,能登大規模農道,柳田・珠洲線,手取川ダム付け替え道路,能登島大橋,珠洲道路と整備は進み,金沢能登2時間・七尾1時間構想も実現しました。

 今や,ラケット道路は,ダブルラダー構想へと変化しています。さて,石川の道はどこまで作り続けるのか,縦横に細かくガットを張った新ラケット道路まで構想するのでしょうか。

 もちろん,南北に長い石川県にとって,加賀・金沢・能登の交流拡大と各地域の発展,車時代の流通や観光振興に大きく寄与してきたことは間違いありませんし,建設業は過疎が進む能登半島や加賀山間部の雇用を守り生活改善に貢献してきたことも事実であります。しかし,石川の道路整備事業そのものを抜本的に見直す時期がきているのではないかと思うのであります。

 まず知事に,日本の,また石川の道路行政についての歴史と今後の行方について所見をうかがっておきたいと思います。

 昨年213日付の朝日新聞朝刊の「声」欄の投書を紹介します。「道路は地方の活力を奪った」という78歳の方の投稿です。房総半島の中ほどにあるこの人の出身地では,昔は町の中心を1本の県道が貫いており,両側の商店街は繁盛していました。ところが,バイパスができたために,酒屋も呉服屋も用品店も眼鏡屋も時計屋も八百屋も魚屋も肉屋も旅館も食堂も売れ行きが激減し,閉店または開店休業となりました。バイパスは中心商店街の混雑を緩和する必要な道路だったのですが,それは町を壊してしまいました。道路が地方の活性化ではなく,衰退・没落につながるということの典型です。という内容のものです。

 わが県でも同じではないのか。バイパスの脇には全国チェーンの大手スーパーや家電量販店・洋品店などが建ち,全国どこにもある同じ光景に遭遇するのです。これをある学者は「ファスト風土」と表現しています。非日常を求めてやってくる観光客には興ざめというほかありません。

 世界にも日本にも,道路整備を拒んだからこそにぎわいを生みだせた地域が多く存在します。高架道路を取り除き暗渠だった川を表に出し,ソウル市民のものへと再生した当時市長のイ・ミョンバク大統領のチョンゲチョン再生事業,歩行者専用道路ネットワーク「ストロイエ」によって人々を町中に呼び戻したデンマークのコペンハーゲン,車を排除した中心街が活気に満ちるブラジルのクリチバ市,道路整備が進まなかったことを逆手に取って成功した静岡県三島市の街づくり,柚子による田舎ブランドで村おこしをする高知県馬路村などです。わが,石川県能登町の農家民宿群「春欄の里」も非日常体験と癒しを求めるグループや修学旅行生がどんどん増加しています。里山景観と地物の食材にたどり着くまでのくねくね道もまた魅力の一つではないかと思います。

 これからは,地域の振興と活性化,観光をはじめとする交流人口の拡大にとって,広い立派な道を増やすよりも,歩きたくなる道,走りたくなる道,遊べる道,道草したくなる道の整備へとシフトさせるという発想が重要ではないかと思います。

 さて,このような観点に立って頭に浮かぶいくつかの道路整備について提案をしてみたいと思います。

 その1は,今,注目される石川の里山・里海の道路のいくつかの舗装をつくりかえ,土の感触を味わえる田舎の道復活プロジェクトをスタートさせてはどうか。

 その2,金沢城公園内のアスファルト舗装の一部を土または砂利道に変えてはどうか。公園とはいえ,お城にアスファルトはミスマッチです。

 その3,椎の木迎賓館,いもり堀整備の後,いもり堀通りおよびアメリカ楓通りを歩行者・自転車専用道にするか,ハンプなどによる自動車スピードを抑制する道路構造へと改良してはどうか。

 もうひとつ,気になっている道があります。それは外環状道路海側幹線の本線のための用地,今は雑草生い茂る延長約10kmの空き地であります。ここに高規格道路を完成させることは本当に必要か,と県民に問えば,10人中9人はいらないとはっきりと答えます。何十年後かの完成をめざし,奇跡的に完成できたとしてもそのころには車の台数は相当に減少しているでしょう。私はこの本線建設計画は凍結すべきだと思います。そして,この用地はどうするか,このまま放置し,ほったらかしの自然を楽しむという手もあるかもしれませんが,ここに太陽光パネルを設置し発電を開始してはどうかという提案です。

 本線部分の面積は,幅33m,延長10kmで約33万m2です。北陸電力が2011年から発電を開始するメガソーラ計画は1か所で23万m2の敷地で発電量は1000kwで一般家庭250軒分,CO2削減効果は年間300tと発表されています。計算では,最大でこの10倍程度の太陽光発電が可能です。100億円程度の建設費が必要ではないかと思われますが,道路であれば本体だけでどの程度の建設費が必要なのでしょうか。

 道路建設のための補助金を得て取得した土地の目的外利用は今のところは法的に問題があると思いますが,これをクリアすることも含め,検討の価値はあると思います。知事ならびに,土木部長の所見を伺います。素人の思い付きが現実となることもあります。数万枚のソーラーパネルの横を電気自動車が走る近未来を想像しながら提案いたします。

 

2.白峰化石壁の調査について

 さて,白山市白峰,手取川ダム横のいくつかのトンネルを抜けると恐竜パークの看板と巨大な肉食恐竜の模型が現れます。ダム湖を挟んで対岸に国の天然記念物に指定されている桑島化石壁があります。

 明治の初め1874年,日本の民俗・工芸の研究にドイツから白峰を訪れていた地理学者ライン博士が桑島部落の崖の脇を通りかかった時,植物化石を採取しました。化石はドイツに持ち帰られ,ガイラー博士によってジュラ紀の植物であることが突き止められます(あの映画ジュラシックパークのジュラです)。

日本の化石が初めて外国に紹介されたのがこの桑島の植物化石です。その後,東京大学などの調査研究によって,この一帯で植物化石が見つかる地層に「手取層群」と名が付けられました。桑島部落はダムによって水没しましたがその付け替え道路に沿って同じ地層が露出します。新しい化石壁の出現です。私にとっては,大学時代実習で訪れた思い出深い崖でもあります。

 さて,時代は進み1982年夏,家族とともにドライブで訪れた福井の中学生松田亜紀さんはきれいな黒い石を見つけ,拾い集めます。家に帰り,ある日この中の一つをうっかり落としてしまいます。なんとその石から化石が現れました。福井県立博物館にもちこまれ,1986年,日本最古の肉食恐竜化石の発見となりました。

 97年,落石がひどくなった化石壁を貫き,村道を通すためのトンネルが掘られ,同時にその掘った岩石の化石調査が始まりました。予想もしない動物化石の発見が相次ぎました。恐竜,トカゲ,哺乳類,卵の化石などの発見は毎年のように全国に報道されています。調査は2000年から2004年度までは県と白峰村,2005年度からは県と白山市が引き継いでいます。

 日本恐竜化石の宝庫「手取層群」から数多くの化石が発見され,14千万年前の豊かな生物多様性の世界が見えてきます。ここに,千葉県立中央博物館監修の「恐竜時代の生き物たち―桑島化石壁のタイムトンネル―」という本があります。1か所の化石だけで本が1冊出来上がるという場所は日本には他にないといいます。

 同じ手取層群の地層があり化石も採取されている隣の県と石川県を比較はしたくないのですが,化石そのものの豊かさでは勝る石川県の関わりといえば,いま述べた調査への費用負担だけであります。構想に5年をかけ2000年夏にオープンし,カナダや中国の博物館との姉妹提携を行い,今年入場者300万人を突破した県立恐竜博物館を中心に調査研究のとりくみを進める福井県とのあまりの違いに驚くのであります。そして,愕然とするのは,これまで続けてきた白山市との調査へのわずかばかりの負担すら中止するという情報を得たからです。

 事業仕分けのスーパーコンピュータの話ではないのですが,何も世界一や,福井を負かして日本一になれとは申しませんが,子育て教育先進県を標榜し,自然保護と生物多様性確保に力を注ぎ,本物の学術文化を大切にする石川県が,この世界に誇る化石壁の調査・保護・普及から手を引き,白山市に丸投げすることは,あまりに見識不足と指摘されても仕方ありません。知事,教育長はどのようにお考えでしょうか。まだ20年はかかるだろうといわれる,トンネル掘削で出た岩石の調査のため全国の大学などから駆け付けてくださる研究者と地元アマチュア研究家からなる化石調査団への支援を続けさらに推進すべきと考えます。見解をお聞かせください。

 さて,白峰には白山市が観光施設として位置付ける恐竜パークがあります。ここでの化石発掘体験は子どもたちだけでなく大人にも刺激的です。まさしくこの地の本物の石を割る体験です。シダなど植物化石は当然のこと,時には亀の甲羅も出ます。恐竜も発見できるかもしれないのです。この施設を教育・普及施設として県立自然史資料館の分館として位置づけ,学習の場としてさらに活用するべきだと思うのですがいかがでしょうか。所見を伺います。

 先日,総務企画委員会視察で有珠山を訪れました。有珠山は糸魚川や島原半島とともに,ユネスコの世界ジオパークに認定され,その取り組みについて説明を受けました。地質学や古生物学において,白峰や勝山の手取層群は,この認定に十分値する地域だと思います。白山麓の自然の中で化石熱中人が集い交流する場として,国内外に発信するため。認定に向けた検討を始めてはどうかと思います。白山の世界遺産登録よりも現実的ではないかと思うのですが,いかがでしょうか。見解を求めます。

 

3.高校再編その後

 来年3月,輪島実業高校,珠洲実業高校,中島高校が最後の卒業生を送り出し,閉校になります。再来年20113月には,能登北辰高校,能登青翔高校,富来高校,高浜高校の校名が過去のものとなります。あと1年あまりで,能登から5つの高校が減るわけです。

高校再編は活気ある学校生活,切磋琢磨の環境づくりを根拠に進められてきました。生徒たちはどのような環境でも力強く生きていきます。毎日を楽しい高校生活にしようとがんばっています。その姿に教師は元気づけられ,それに応えようとします。これら能登の高校でもそのような毎日の活動が継続されています。しかし,この再編によって起こった変則的な学校生活には,教師も生徒もやや疲れが見えると聞きます。また,教職員からは,完全に統合が完了したときの学校運営に対する不安の声も寄せられています。

輪島高校,飯田高校の総合学科生徒は,それぞれ実業高校での実習のためバスによる移動を行っています。週に何回かの移動は慌ただしく,時間との戦いでもあります。総合学科・普通科共通の日課表に従った行動は当然のことです。移動によっておこる時間のずれなどに合わせた柔軟な対応は困難であり,このような毎日は,少しずつではありますがストレスとなって蓄積しているといいます。忘れ物はないか,みんな揃っているか,時間は間に合うか,などという配慮を,ここの生徒たちは通学以外にもしなくてはならないわけです。たいしたことはないと一蹴すればそんなものですが,できうるなら余計なストレスは排除してやりたいというのは人情であります。

また,来年は両校とも3学年がそろいます。教室の関係で移動をさらに過密スケジュールの中で運用しなければならないといいます。スクールバスや借り上げバスによる移動について問題点はないのか,その状況把握と来年度に向けた改善策について,教室増築の検討も含め見解を求めます。

次に,統廃合により,複数の学校で授業を受け持つ兼務の教員が多く配置されています。23校の掛け持ちも時間割編成の都合上,1日の間の学校間の移動も必要となります。中には,1120kmも自家用車で移動しなければならない教員がいると聞きます。教材研究や生徒への対応に費やされるべき貴重な時間が車の運転に使われています。空腹では働けません。車の中でコンビニのパンやおにぎりを食べなければならないこともあるようです。兼務の解消に向け教職員配置に最大限の配慮を行うべきと思いますが,現状と今後の対応について伺います。

さて,来年度も引き続き実習に使われる2つの実業高校の耐震化は完了しているのでしょうか。これについても,伺っておきます。

また,図書館司書,養護教諭,事務職員,現業職員について,移動先校舎への配置も含め,十分な配慮が必要と考えますが,その配置方針について伺います。

 

以上,知事及び関係部長の心温まる答弁を期待し,私の質問を終わります。ありがとうございました。

 

答弁

◎知事(谷本正憲君) 盛本議員の一般質問にお答えいたします。
 第一点は、道路についての御質問がございましたが、道路は最も基礎的な社会資本の一つだというふうに思うわけでありまして、これは古来より人やものの移動とか文化の伝播、こういったものを支え、いわば人類の歴史とともに進展してきた、そんな位置づけができるんだろうというふうに思います。特に我が国では戦後急速に進展しました車社会、これに対応するために緊急かつ計画的に道路整備が進められたわけでありまして、現在の経済大国日本の礎を形成をしてきた、こう申し上げてよかろうかというふうに思います。
 石川県も大変南北に長いという地理的条件を有しておりますので、これを克服していく。そして、県土の均衡ある発展を図るという意味からも道路整備は特に重点的に幹線道路の整備を進めてまいりました。これまでに能登有料道路、あるいは最近では金沢外環状道路の山側幹線、加賀産業開発道路、こういったものが整備されたことにより能登、金沢、加賀を貫く太い背骨が形成をされたわけでありまして、県民生活の利便性あるいは地域経済の発展に大きく我々が想像する以上に寄与してきたものと、このように確信をいたしておるわけでありまして、特に山側幹線など私も最近よく利用しておりますけれども、もう渋滞すら出てきておるという状況でございます。これは交通安全面で大きなまた支障を来しかねない、こんな状況にもありますので今鈴見から北のほうでは四車化の工事を始めておるところでもございます。
 しかしながら、能登半島地震を経験しまして、また安全・安心の観点から災害に強い道路整備の必要性も改めて実感をいたしたところであります。そして、新政権が抱えておられます地域主権とか観光立国ということから考えてみますと引き続き県内企業の国際競争力を高めるために必要な物流を支える道路、これに加えまして北陸新幹線と連携をして観光交流の拡大に資する道路、あるいは景観といった道路の質を高めるためのまちなかの無電柱化、こういった整備も進めていく必要があるわけでございますので、道路というのは一次改良、二次改良、さらには線形改良とか二車線化、四車線化、渋滞解消、地域によってさまざまなレベルでの整備というのがまだニーズとして私はあるんではないかというふうに思うわけでありまして、そういった意味ではゼロか一かという判断ではなしに地域によってどのような道路整備が期待されているか。そういうニーズをくみ上げてまいりますと私はニーズはまだまだ多様だというふうに思うわけでありますね。ある地域によっては幹線道路網の整備は必要だという地域もございますし、ある地域によってはもう電線の無電柱化をどんどん進めてほしい、そんなニーズの高いところもあるわけでありますので、そうした多様なニーズにやはり我々としてはこたえていかざるを得ないということでありますので、今後とも生活道路から幹線道路に至るまで、いわば質の高い道路整備に着実に取り組んでいきたい、こういう考えであります。

○副議長(中村勲君) 三国観光交流局長。
 〔観光交流局長(三国栄君)登壇〕

◎観光交流局長(三国栄君) 白峰や勝山の手取層群をユネスコの世界ジオパークの認定に向け検討を始めてはどうかとの御質問にお答えいたします。
 世界ジオパーク──世界地質公園とも言いますが──につきましては今回国内では初めて洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島の三地域が認定されたもので、これまで世界では十九カ国、六十三地域が認定をされております。この世界ジオパークに認定された場合、世界的な認知度向上とともに新たな観光資源として誘客につながるなど観光面での効果も期待できるものと考えております。
 世界ジオパーク認定につきましては地質学的に見て価値が高い火山や地層、地形など貴重な特徴を二つ以上有する地域が要件でありますことから、これまで認定された地域の特徴や白山地域の学術的な問題も検討する必要があると考えておりまして、今後地元白山市とともに十分研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○副議長(中村勲君) 植田土木部長。
 〔土木部長(植田剛史君)登壇〕

◎土木部長(植田剛史君) 石川の道につきまして四点の御質問がございました。
 まず、道路の舗装をやめて土の感触の味わえる田舎の道を復活させてはどうかということでございますけれども、まず県が管理をいたします国道や県道につきましては幹線道路として物流など経済活動や地域間交流を支える必要がありますことから快適な走行性や安全性が求められ、このため一定の強度や平たん性を兼ね備えた舗装とならざるを得ないということをまず御理解をいただきたいと思います。しかしながら、こうした制約がある中におきましても地域振興や観光による交流人口の拡大に向けた歩きたくなる道づくりといたしましてこれまでも山中ゆげ街道や輪島市の河井町横地線など、まちなかの景観に配慮をした歩道舗装を実施をしてきたところでございます。また、道路は車が行き来をするだけではなくて、人が集い交流をする生活空間としての側面もございますことから、石川の守るべき原風景が残る里山里海地区における生活道路につきまして今後御指摘のような土の感触を味わえる道づくりの具体的な提案がございましたら、これは市町とも協力をしながら地域の実情に合った道づくりを支援をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、金沢城公園内のアスファルト舗装を土または砂利に変えてはどうかという御指摘でございます。金沢城公園につきましてはアスファルト舗装となっておりますのはほぼ幹線園路に限定をされておりますけれども、これにつきましては多くの観光客や車いすの方々が利用をいたしますことから快適な歩行性や安全性を最優先としていること、また園内の管理用車両の通路といたしましても耐久性を確保する必要があることなどの理由によりましてアスファルト舗装といたしておりますけれども、ただ城の景観にも配慮をいたしまして自然石風の舗装というふうにしているところであります。
 一方、幹線以外の本丸の森や石垣をめぐる園路につきましては歴史的景観や周辺の自然環境との調和にも配慮をいたしまして砂利舗装あるいは木道というふうにしているところであります。今後ともそれぞれの場所や用途に応じまして各種の舗装を組み合わせるなど、さまざまな工夫に努めてまいりたいというふうに考えております。
 三点目といたしまして、いもり堀通りとアメリカ楓通りに関する御質問がございました。いもり堀通りとアメリカ楓通りにつきましては平日で一日当たり五千台から七千台程度の交通量がございます。したがいまして、現時点では歩行者・自転車専用道路やスピード抑制策を直ちに実施をするということは困難でございますけれども、来春完成予定のしいのき迎賓館やいもり堀の整備に合わせましていもり堀通りの歩道を拡幅するなど歩行者の安全確保や回遊性の向上を図っているところであります。今後は県庁跡地と中央公園や金沢城公園などが一体となって公園的利用がなされるということになりますので、まずは完成後の歩行者の動線がどう変化するのか、また通行規制をした場合の周辺道路に与える影響などにつきまして調査、検討をしてまいりたいというふうに考えております。
 最後に、海側幹線の本線についての御質問がございました。金沢外環状道路海側幹線は国道八号の慢性的な渋滞の緩和や能登、金沢、加賀のさらなる連携強化を図る県土の大動脈として極めて重要な道路でございます。現在、道路ネットワークの早期形成を図る観点から側道部の整備を優先的に進めておりますが、本線部につきましてはこの側道部の交通状況を見きわめながら着工時期を検討をするということにいたしております。
 今後の高速道路の無料化による影響を見きわめる必要があるというふうには考えておりますけれども、昨年度国が公表いたしました新たな交通需要推計に基づく海側幹線本線部の将来交通量は一日当たり最大約五万台が見込まれておりまして、今のところ市街地部の交通渋滞の緩和や周辺生活道路における交通安全の確保の観点からも整備の必要性はまだ高いのではないかというふうに考えております。
 なお、本線部の建設費ということでございますけれども、これまで用地取得済みとなっております白山市乾町から金沢市鞍月までの十・三キロ区間の事業費といたしまして五百七十億円程度とした試算をしているところでございます。
 また、取得済みの道路用地の利活用につきましては本線部着工までの暫定的な利用といたしまして駐車場や公園または仮設店舗等は可能ということになっておりますけれども、御提案の太陽光パネルのように将来の道路事情の支障となるような恒久的なものにつきましては困難ではないかというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

○副議長(中村勲君) 中西教育長。
 〔教育長(中西吉明君)登壇〕

◎教育長(中西吉明君) 六点お答えをいたします。
 まず、国の天然記念物に指定されております手取川流域の珪化木産地、いわゆる桑島化石壁につきましては平成十二年度から県、白山市及び専門家で組織をいたします桑島化石壁産出化石調査協議会を設置をいたしまして化石の調査、研究とともに白山恐竜パーク白峰での展示や体験講座の開催など積極的に活用を図ってきたところでございます。これまでに世界最古のアロワナ目魚類化石などの貴重な化石が発見されておりまして、我が国にとっても学術的に大変重要な地層として認識をいたしております。
 化石調査は平成十二年度から当初五カ年の計画で進めてまいりましたが調査岩石量も多く、また重要な化石の発見が相次いだことなどから平成十七年度からさらに五カ年の延長を行っております。その後、未調査岩石の量も少量となったことから当初の予定どおり平成二十一年度で第二期の調査が終了することとなっております。現在、協議会や調査の継続、学術的に貴重で保存の必要がある標本の所有などについては白山市と協議中でございますが、県といたしましては引き続き市や関係機関とも連携しながら貴重な化石の調査、保存に努めてまいりたいと考えております。
 次に、白山恐竜パーク白峰を県立自然史資料館の分館としてはどうかとのお尋ねがございましたが、白山恐竜パーク白峰は白山市の設置であり、自然史資料館とは設置目的も異なることなどから県立の施設とすることは難しいのではないかと考えております。しかしながら、自然史資料館は動物、植物標本のほか化石標本も収蔵しておりまして、白山恐竜パーク白峰と連携を図ることによってお互いが学習の場としての役割を高めていくことは有意義であろうと考えております。
 次に、輪島高校、飯田高校の総合学科についてでございますが、珠洲実業高校及び輪島実業高校の施設、設備の活用につきましては県民共有の貴重な財産であり、また地域の方々にとって大変関心の高いものであることから、地元の市や町の意向を十分お聞きしながら専門教育の実習や部活動など、教育委員会としての利活用を図るという視点に立ち、シャトルバスの運行を初め予算措置を講じてきたところでございます。
 生徒の移動につきましては県所有のシャトルバスや借り上げバスにより行っておりますが、移動の回数を極力少なくするため、両校とも一日または午前、午後に実業高校での授業を集中させておりますほか、授業の開始時刻を二十分おくらせるなど時間割りや日課表を工夫することにより校舎移動に伴う生徒への負担を軽減しているところでございます。
 なお、現時点では施設面における支障はないと考えておりますが、来年度は三学年がそろうことから必要に応じて借り上げバスを増便するなど、円滑な学校運営が図られるよう運行体制について万全を期してまいりたいと考えております。
 統合校における兼務教員等についてでございますが、高校再編の有無にかかわらず教科ごとに教員一人が担当する授業時数が少ない場合には兼務で対応しているところでございます。また、現在再編の過程にあるため対象校間の兼務が生じておりますが、完成時においては解消するものでございます。いずれにしましても学校長の意見を聞きながら各学校の実情に応じて日常の教育活動が円滑に行われるよう適材適所の教員配置に努めているところでございます。
 また、図書館司書などその他の教職員につきましても引き続き必要な配置に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、実業高校の耐震化についてお答えをいたします。県立学校の耐震化につきましては生徒が常時使用する教室棟や地域住民の避難施設となっております体育館の耐震化を優先的に行うこととしており、現在その耐震化を鋭意推進しているところでございます。
 輪島実業、珠洲実業両校の再編後も主に使用する実習棟は輪島実業高校では六棟、珠洲実業高校では一棟でございますが、このうち輪島実業高等学校の一棟で耐震性があり、残り六棟については今後策定する県立学校の実習棟の耐震計画の中で検討していきたいと考えております。
 以上でございます。