石川県議会議員 盛本芳久

09年度第1回総務企画委員会(志賀原発集中審議)

盛本ブログ 「あまりに段取りがよすぎないか」
http://www.molimoto.com/blog/2009/04/post-21.html

 

総務企画委員会報告 2009年3月25日(水)   *公式記録ではありません 

  参考人:原子力安全・保安院,北陸電力

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 *国への信頼の低さについて
◎盛本芳久委員 信頼という問題について最初に質問したいと思うんですけれども、きょう原子力安全・保安院の方もいらっしゃっておりますので、前回の委員会で質問があったかと思うんですけれども、再度お尋ねしたいと思います。
 
NHKで「時事公論」という番組がありまして、そこで紹介された内容ですけれども、去年、全国2,000人余りに対する意識調査で、温暖化対策もあって原発の必要性を感じているという人が52.6%いる。こういう人たち2,000人ですけれども、その人たちに質問したところ、「電力会社は信用できる」というふうに感じている人が20.8%。「国は信用できる」というふうに感じておられる人が8.3%という、こういう数字が発表されているわけです。これは別に反対派と言われる、いわゆるそういう人たちへのアンケートではなくて、一般的な方々2.000人ということでありますけれども、こういう実態があるわけです。これは専門家であるし、いろんなそういう科学的な知見を持った方々がやっておられる、そういう国なり電力会社ということでありますけれども、印象としてやっぱり国民がそういう感覚を持っているということについてどういうふうに感じられますか。

◎参考人(佐藤均原子力安全・保安院審議官) ただいまのアンケートの状況等について、私ども承知しておりませんけれども、やはり私ども規制を携わっている原子力安全・保安院といたしましては、国民の皆様、それから地域の皆様に信頼をしていただくというのが基本だろうというふうに私どもも考えております。
 ただ、こういった数字があるとすれば、やっぱり我々の努力がまだ足らないのかなというふうに感じます。いずれにしろ、私どもはこういった安全規制を行うに当たって合理的、科学的な判断をまず基本とし、また中立性を重んじて安全性をしっかり確保、確認していくというのが私ども最大の使命だと思っておりますので、そういった考え方に従いまして、今後とも努力をしていき、国民の信頼をいただくよう頑張っていただきたいというふうに考えているところでございます。

◎盛本芳久委員 それで、努力という、これは電力会社の方も同じだと思いますけれども、努力するという、そこはやっぱり国にすれば、やはりだめなことはだめと。厳しいところは厳しくという、そういう姿勢をしっかりと見せていくということでしか信頼を得られないのではないかというふうに私は思うわけです。何となく電力会社と一緒になって追随をしているという、そういう感覚がやっぱり住民にあるんだろうというふうに私は思います。この間の1号機の再稼働の今回の場合にしても、裁判もありました。その結果も出ましたし、昨日の安管協、私も傍聴しましたけれども、いろんなところを見ても何か余りに段取りがよ過ぎるといいましょうか、スケジュールどおりばんばんといっているような感がやっぱり拭えないんですね。そういうふうに感じている県民の方もたくさんおられる。余りうまく進み過ぎているんじゃないか。そんなようなこと、これは私の思いですから、これは答弁いいですけれども、そんなことを思います。

 * 臨界事故と沸騰水型の構造的欠陥について
 具体的な質問をちょっと幾つかしたいと思うんですけれども、制御棒の引き抜けということが起こって臨界事故が起こったということですけれども、これはこれまで議会でも構造上の問題があるんじゃないかということで質問をしてきたわけですけれども、それは問題ないんだと。手順が問題だったんだと、こういうふうに危機管理監ずっと説明されておりましたけれども、きょうの中身を見まして、技術的な再発防止策もとられているということでありますけれども。
 昨日の福井新聞で載っていた記事をある人からお聞きしましたけれども、女川1号で手順に基づいてしっかりと点検中やっていたけれども、誤挿入、今度は引き抜けじゃなくて間違って入ってしまったという、そういう記事が出ておりまして、これを国に報告したという、そういう記事がありました。
 臨界事故そのものもそれに類似したことが、志賀原発以降発つも起こっているということも前に出ていますし、そういうことが起こって公表された後の最近でもそういうことが起こっているという事実ですけれども、こんなことを見てもやっぱり構造上の手順だけではなくて、構造上の問題があるんじゃないかと指摘せざるを得ないんですけれども、その点についてはどうですか。

◎参考人(前川之則原子力安全・保安院総括安全審査官) 私ども保安院のほうで、今御紹介のありました女川1号機の制御棒が誤って入っていったという事象がございまして、これについては現在調査をしてございます。
 私どもが今の段階で聞いているところでは、まずは運転中の操作として、空気をちょっと抜きたかったのでバルブ操作をしてしまったというところがございます。したがって、恐縮でございますが、手順等がよかったかということについては非常に私ども疑義がございます。現在それを中心に調査を進めているところでございまして、基本的には構造に加えて、それを管理する問題とやはり両方あわせて考えなくちゃ、すべての事故というのはそういうことだと思いますので、それはすべてニュートラルといいましょうか、絶対これだとかいう予見を持たずに検討を進めているところでございますが、その段階におきましても今いただいている情報では、どちらかというと操作を誤っているのではないかという情報を私どもはいただいております。 したがいまして、設備ということの欠陥ということについては私どもまだそういうことはないと理解しているところでございます。

◎盛本芳久委員 ヒューマンエラーということのようですけれども、そういうことはやつぱり起こってくるわけで、それがあっても安全に動くという、こういう構造というものはやっぱり必要だというふうに思いますが、これはだめだといったらつくり直すとか別の形にせないかんと、こういう話なってくるんでは、これは際限がなくなってしまうんですけれども、重力に逆らって制御棒を入れないと制御できないという、そういうことはそれでいいのかなという思いは、素人ですけれども思います。それから、新しい型の2号機のような型でもやっぱり引き抜けということが起こっているということでありますので、そこは十分に検討していただきたいなということは思います。

 * 事故隠しと隠さない体質について
 もう一つ、隠さない体質ということについてですけれども、これはさまざまな取り組み、たくさんやってこられたということで100%達成をしている、解決していくということでございましたけれども、これも私の感覚からすれば、事実がどうだったのかというところがどうもはっきりしない。隠したそのときの状況です。どういう人がどういうことをやって、どういう会議をしてどうして隠すことにしたのかというその辺が明らかになっていない。何か記憶がないとかそういう話で終わってしまっている。その後の対策は結構ですけれども、そこがどうもすっきり、しょっぱなのところがすっきりしていない。原因究明もしっかり国のほうで点検をされたということで先ほど報告ありましたけれども。
 それから検証委員会というのがありますけれども、これも機能を本当に果たしていたのかどうかというのは大変疑問があります。その会議の中身は非公開でありますし、議事録も公表がないという、そういう話も聞きましたし、そういう意味で隠さない体質という、それが本当に達成されたのかどうか。こういう疑問を持っておられる方も多くおられるので、もう一度その点についてお答えいただきたいと思います。

◎参考人(松長賢北陸電力株式会社副社長兼原子力本部長兼地域共生本部長) まず、臨界事故を報告いたしまして、それについて社内調査委員会を開催して調査いたしました。
 まずその目的は、なぜ臨界事故が起きたかということと、そしてなぜそれを隠したかということについて調査をいたしました。
 臨界事故が起きたということについては、ヒューマンエラーということで、その対策をいたしました。そして、なぜ隠したかということについては、それを徹底的に調べまして、まず所長が隠そうとした。意思決定が閉鎖的な中で行われていること。そして、そこの決定にいきますプロセスが明確でなかった。不透明であった。そういったことから、これは一個人の問題でなくて組織として、もう一つは所長以下が集まったときにだれも反対しなかった。いわゆる議論がなされなかった。こういう個々の問題でなくて、風土、組織風土の問題であるということを突きとめまして、我々としては組織風土を改革していきたいということで、隠さない風土、これを徹底的にやろうということでやってきたわけでございます。
 また、先ほど検証委員会というものは非公開になぜしているか。それから議事録を公開していない、不透明であるというようなお話がございましたが、これは検証委員会をやるときに、委員長、それから副委員長と御相談されまして、闊達に議論をして審議をしていきたいということから会議の中身は非公開。しかしながら、終わった後は委員長、副委員長の記者会見をする。そして、議事録の概要につきましては当社のホームページに載せてございます。以上でございます。

◎盛本芳久委員 それは事細かに闊達な議論をされる。それをきちっと載せるということをやってほしかったなということを思います。
 それから、隠すということについてはトップに近づけば近づくほどそういうことをきちっとやっていくということが一番大事なことで、もちろん職員すべてそうですけれども、そこのところが先ほどの信頼という問題にもなってくるんですけれども、残念ながら疑問が私などはあるわけです。これはこういう思いだけ述べておきますけれども。

 * 耐震の中間報告の意味について
 あと、地震のことについてですけれども、ここに北陸電力の中間報告ということで、耐震安全性についてあるんですが、初歩的な質問ですけれども、中間ということは、最終報告とかそういうのがあるんでしょうか。

◎参考人(佐藤均原子力安全・保安院審議官) この中間報告をまとめた経緯について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 私ども先ほど言いましたように、平成18年9月に耐震指針が見直され、各事業者に対して耐震のバックチェックをするよう指示したということでございます。
 その後でございますけれども、ちょうど半年後ぐらいですか、新潟県中越沖地震が起きたということでございます。そのとき、やはり全国の原子力発電所の耐震安全性に対する皆様の御不安というのが非常に高まったということもあって、私ども当初、事業者に対して指示したバックチェックの報告の時期を早めるようにと、こういう指示を、指示というか事業者に依頼を出すべく準備をしていたわけでございます。
 ただ、耐震の評価というのは海上の音波探査や活断層の調査から始まりまして、詳細な機器等の一つ一つの詳細な計算を求める内容でございます。非常に時間がかかると。全体、最終報告の提出を早めるというのはなかなか難しい状況でございました。
 したがいまして、そういう状況の中でやはり何らかの形で地元の方々、国民の皆様にそれぞれの発電所の安全性を確認していただく方法はないものかということで、先ほど言いました一番基本となる基準地震動を早く決めるということと先ほど言いました「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」といった安全上重要な機能についてはとにかく早く出すことで基本的な安全の確認をしていただけるだろうということで、中間報告を事業者にできるだけ早く出すようにということを指示したわけでございます。
その中間報告が昨年の3月、各社から提出があったということでございまして、当然こういった中間報告の次には詳細なすべての機器に対する、すべてというか安全上重要な機器に対する詳細な評価結果も踏まえた形で最終報告がなされるという計画になっているものでございます。

◎盛本芳久委員 そうすると、重要な部分ということですけれども、その重要部分にかかわる断層の問題で、笹波沖断層が延びるのではないかというような詰もあって、そこはこれからまた詳しくという話もありましたけれども、少なくともこういう重要な部分だと思うんで、私の感覚とすればそういう地震にかかわる断層という問題について、43キロが45キロになる。これは延びても大丈夫なんだという  話も出ておりましたけれども、その辺はきちんとした結果が出てからオーケーを出すということがあってしかるべきだと思うんですけれども、どうですか。

◎参考人(佐藤均原子力安全・保安院審議官) まずこの問題については、まだ私どもは調査結果の最初の段階で、具体的に延びるか延びないかということについてはまだ私どもの見解を取りまとめている段階ではないということでございます。これは先ほど説明したとおりでございまして、そういった中でなぜまとめたのかということだと思います。バックチェック、先ほど説明いたしましたように、昨年3月に報告をいただいたわけでございますけれども、私ども当初は早く出していただいたからには評価も早く出さなければ意味がないだろうという認識でおりました。そういったような計画で、中間報告については半年を目途にある程度の答えを出そうということを私どもは考えていたところでございます。
  ただ、なかなか評価も、先生方、非常に膨大な資料を見ていただくような状況でございまして、時間がかかっているということもございまして、本年1月には原子力安全委員会からもバックチェックの評価を早く急ぐようにという御指示をいただきました。私どももそういった指示を受けまして、この体制を強化するような形で鋭意取り組んできたという状況でございます。
 一方、海洋調査も行っている状況の中で、海洋調査の結果というのがまとまるのはやはり非常にデータの分析等に時間がかかるということも事実でございます。したがいまして、私どもすべての結果をまってからやるというやり方もあろうかと思いますけれども、この地域というのは非常に海洋調査の結果もいろんな他機関で行われているという状況もあって、先ほど言いましたように、我々念のためにやったということでございます。
 いずれにせよ、今回いろんなデータ出てきたわけでございますけれども、私どもは志賀原子力発電所の耐震安全性について、すべて海洋調査の結果が出そろってますということではなくて、私ども判断できるところが出てくれば判断する必要があろうということで、2月に取りまとめたということでございます。
 これについては、既に報告を取りまとめております島根原子力発電所においても一部海洋調査がまだ評価済んでないものがございますけれども、島根についても私ども耐震安全性に関する中間的な取りまとめを行ったという状況もございまして、いずれにせよ、私どもはそういった状況を踏まえながら私どもの判断を適宜的確に行っていくということが重要だと思って、今回2月に取りまとめたということでございます。

 * 地震の最新の知見について
◎盛本芳久委員  45キロという長さについては、先日の裁判のあれも住民側が45キロだと言っていたんですけれども、裁判では根拠がなくて45キロにしているなんていうのもまた、判決の趣旨の中にあったりしておりますので、これは問題だなということを一つ思っています。
 そして、最新の知見ということでありますけれども、直下型で6.8という設定でされておるわけですけれども、これも本当に今の地震学のいろんな専門家の中では7.0から7.1あるいは7.2や7.3ぐらいが起こることも十分考えられるというのが常識となっているという話も聞くわけです。
 それから、中国の地震も大変古い断層が動いたんだというような詰もあるし、最新の知見を取り入れていくというその辺がどうも、どんなふうに取り入れていくのか。例えば中国の地震なんていうのは参考にされておるんですか。

◎参考人(佐藤均原子力安全・保安院審議官) とりあえず、中国の地震とはそもそも発生するメカニズムが異なっていますので、志賀原子力発電所で考えている活断層による地震とは直接的な問題になるものではない。関係するものではないとまず考えています。それで、最新の知見をどうするかということ、これは私ども非常に大事な問題でございまして、これは昨日の安全管理協議会でも先生方から御意見いただいたわけでございますが、こういった自然を相手にするようなものについては、やはり我々すべてが今の段階で明らかになっているというようなおごった認識を持つべきではないということでございます。当然我々も今あるデータで最大限の判断をいたしますけれども、当然その後の調査、経験によって新たな知見も常に出てくるわけでございます。私どもそういった知見を的確に事業者に反映できるよう、その仕組みづくりもことし4月から行っていきたいというふうに考えているところでございます。
 いずれにせよ、こういった新しい知見というのは非常に大事なものであるということで、我々もそれに対する対応は今後ともしっかり対応していきたいというふうに考えているところでございます。

 * 十分な余裕とは
◎盛本芳久委員 それで、いろんな地震についての話があったときに、十分な余裕があるから大丈夫だという詰もよく出てくるんですけれども、例えば耐震偽装のマンションありましたけれども、取り壊したりしているわけですけれども、これも十分な余裕があるから多少計算ごまかしても大丈夫だと。こういう発想でマンションを設計してしまったんじゃないかと思うんですけれども、もちろん建築基準法の何倍とかそういう話もさっきありましたけれども、十分な余裕というのはどれぐらいの余裕なのか、全くそれはわからないわけです。
 その辺も一般素人からすれば、どれぐらいなんだという、それに対する答えというのはあるんですか。

◎参考人(佐藤均原子力安全・保安院審議官) こういった原子力発電所の余裕の議論でございますけれども、実際の原子力発電所の耐震に対する体力というのは、これは私ども過去に四国の多度津というところで実際の振動台、大規模な振動台を有しておりまして、そこでいろんな格納容器だとか配管ポンプ頬などの振動実験をいろいろ行ってございます。そういった振動実験によりますれば、例えば格納容器などの耐震裕度というのはこういった基準地震動に対して5倍程度の余裕を持っているというようなデータも出ております。配管などもそれ並み、またそれ以上の配管の余裕もあるというような結果が出ております。
 これはそれぞれの評価の仕方やものをつくる際の計算の余裕等がいろいろ積み重なった上で余裕というような形としてあらわれてきているんだろうというふうに考えてます。ただ、盛本委員御指摘のように、じゃ一体どの程度なのかということを定量的にすべてあらわすというのは現在のところなかなかできておりません。私ども今回、新潟県中越沖地震において、結果的に見れば余裕があったから安全上問題が生じなかったわけでございますが、そういったような余裕というのをもう少し定量的に評価することはできないかということで、私ども来年度から詳細な調査に入っていこうというふうに考えているところでございます。
 いずれにせよ、実際の持っている余裕というのは、先ほど言いました実証試験などのデータからかなりのものを余裕として持っているというのは事実でございます。

◎盛本芳久委員 やはり、そのために基準というものがあるわけですから、十分な余裕という、そういう議論はすべきじゃないというふうに思います。基準は基準としてきちっとやっていってほしい。
 そして、いろんな先ほど中間報告の話もお聞きしましたけれども、そういう部分で国が厳しく、これはまだ認められないとかきちっとした形でやっていくということが最初に話した信頼というところにつながっていくと思うので、そこは本当に厳しくやっていただきたいということを最後に申し上げて終わりたいと思います。

この後,志賀原発1号機の再稼働の了承についての賛否が挙手によって問われ,賛成多数によって委員会としての意見がまとめられた。