思春期を思い出せない人は,非常に鈍感な人か,非常に忘れっぽい人だと言われるくらい,人生の中で思春期は激動の時代,ひたすら自分自身に関心を寄せる時代だと言います。
1月16日,今回の「わい・がや」は,前回に引き続き,星稜大学の寺井弘実先生から,子ども時代のこ
ころについて講義をしていただきました。特に思春期のこころの育ちについて,具体的な事例も含め臨床心理士の立場から多くの有意義なお話,示唆をいただくことが出来ました。
思春期の心の特徴は,大人への身体変化に伴うコントロールできない「不安」や「いらいら感」です。大人になる時期,どんな大人になるのか,なれるのかを考え,自己にひたすら関心を寄せる時期ということです。
秘密を持つようになり,周りの世界に過敏になり感情が高ぶり,自意識が過剰になります。そして,イライラやモヤモヤが心に沈殿していく,すなわち大人の証でもある葛藤を抱えることができるようになります。この精神的不安定感を,同世代の共通点をもとめ集団をつくり安定を得ようとするといいます。また,大人に対しては,「依存」と「自立」の相反する気持ちを共有します。反発と共に,それと同様の部分が自分の中にあることも感じ取るといいます。
思春期の子どもにどう対応するのか,「子どもの不安感の壁」になる,すなわち,批判を受け止め冷静に逃げない大人の「父性」が重要だといいます。大人としての自分の人生を子どもにしっかりと語るチャンスでもあるようです。そして,逸脱行為に対しては,しっかりと対決することも子どもは求めているといいます。
今の時代,思春期の子どもたちとじっくりと向き合うことが出来ない親や大人が増えています。特に家族の生活を支えるために長時間働かねばならず,それができにくい母子家庭の課題は大きいといいます。日本において女性が家族を支えることの大変さがこのようなところにも影響を与えています。
多くの相談から,寺井先生は,うまく手のかからない子にどうして育てるかに力を注いでいる親が多いのではないかと感じるといいます。子どもたちが,思い切り感情を発散でき,それらを余裕を持って大人が受け止めることが出来る。この繰り返しによって子どもたちが成長していくのだと再認識しました。
雇用の安定,労働条件・賃金の男女格差是正など,子どもの心にも大きく影響を与える親や大人の生活と労働の改善は急務であるとここでも強く感じました。
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