2009年10月23日・24日にわたり石川県教育研究集会が金沢市を中心に開催されました。23日に開かれた記念講演は,金沢市出身の国際基督教大学教授,東大名誉教授の藤田英典さんが「ゆたかな学びの空間作り-新学習指導要領と学校教育の課題」の演題で行われました。
また,22の分科会は23,24日に行われ,県内各地の学校等での実践が報告され討論が行われました。
2006年12月教育基本法改悪とともに,教育現場の息苦しさは深刻になってきています。2002年の指導要領改定・学校週5日制から学力の格差は増し,とくに下層レベルの子どもたちが増大しています。藤田さんは習熟度別授業がこの方向を強めたと分析されています。そして,全国一斉学力テストに象徴される競争主義によって教師も子どもも追い詰められてきています。
藤田さんは,教育基本法改正の国会論議に参考人として見解を述べておられます。教育基本法は国民にとっては空気のようなもので,新鮮な酸素を供給してきたが,基本法が変われば酸素は減り空気が汚染されていくと反対を表明されていました。まさに,予言どおりの現場の状況です。
この状況を切り開くには,現場の真摯な実践が最も重要だとも言われました。このような研究集会での実践交流によって本当に楽しい授業と,そこからは必ずや本物の学力が育っていくと信じたいと思います。
さて,分科会はずっと「選抜入試制度と進路保障」の共同研究者を務めています。近年の報告には,地方格差や家庭の所得格差に関わるものが多くなってきています。
能登の高校統廃合による過疎化の更なる進行,それにともなう子どもの学習環境の悪化の問題も報告されました。また,定時制高校の実態,特別な支援を必要とする障害児などの進路の問題も議論されました。
今回の報告の中から全国教研に報告されるレポートは,能登の1学年13人の中学校の学級での課題を抱えた生徒との関わりを担任がまとめたものです。厳しい家庭の状況の中で,生活が荒れたり,時に心が不安定になったりする子どもと,また親と体あたりしながらも,卒業までたどり着き,高校進学を果たし,そして高校の教師による助けの中で高校も卒業する子どもの姿です。
やはり,教師のひたむきさと地道で誠実な実践が,子どもを育て,変えていくのだということが参加者の共通の思いでした。しかし,このように子どもと向き合える時間は本当になくなってきているといいます。教職員増と無駄な事務作業の排除を具体的に進めるよう教育委員会への働きかけも現場の皆さんと一緒に進めていかねばと,改めて思ったしだいです。